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病気・予防接種

Q. 4歳の男の子。健康診断で血尿が出たことで「無症候性血尿」と診断されました。 (2014.11)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳の男の子です。今春、幼稚園での健康診断で血尿と診断され、再検査でも潜血が陽性となりました。かかりつけの小児科で再度検査をしたのですが、やはり潜血のみ「2+」で、血液検査は異常なかったものの専門医のいる総合病院を紹介されてエコーとレントゲン検査、それに尿検査を受けました。結局、そのときも尿の潜血以外は異常が認められず、「無症候性血尿」で定期的に経過観察をすることになりました。先日、2回目の総合病院の受診でしたが、また「潜血+」で様子見になりました。次の受診は半年後ですが、原因がはっきりしないため、どう対処すればいいのかわかりません。大きな病気を見落としてはいないか、心配です。主治医からは、かぜなどで高熱が出たときは必ず尿検査をしてもらうよう指示されていますが、ほかに日頃の生活や本人の様子などで気をつけたほうがいいことがあれば教えてください。

回答者: 横田俊一郎先生

 健康診断の尿検査で潜血が陽性になったり、たんぱくが陽性になったりすることはよくあります。尿検査の目的は腎炎など症状が出にくい病気を早く見つけることですが、尿潜血陽性の場合には原因が何も見つからず経過観察となることが少なくありません。

 血尿は腎臓の糸球体から出る場合とそれ以外の膀胱や尿道から出る場合があり、これは出ている赤血球の形を顕微鏡で観察することによって、ある程度区別することができます。

 糸球体から赤血球が出ているときには腎炎を疑いますが、一過性ですぐに消えてしまうことも少なくありません。進行性の腎炎の場合には尿たんぱくも次第に量が増えていくのが特徴です。また、「良性家族性血尿」という病気があって、この病気は遺伝的に血尿が見られますが、腎機能が悪くなることはなく、生活に支障が出るようなこともありません。家族に血尿を指摘されている方がいるかいないかは大事な情報となります。

 糸球体以外から出血している場合にはいくつかの原因が考えられます。ひとつは「特発性高カルシウム尿症」という病気で、原因はわかりませんが尿へのカルシウムの排泄が増加する病気です。血尿の原因になることがあり、高度の場合には尿路結石を作ることもあります。尿中のカルシウムの量は、尿を検査することで知ることができます。

 もうひとつは「ナットクラッカー現象」という状態です。これは左腎静脈が大動脈と上腸間膜動脈の間で圧迫されて左腎のうっ血をきたしている状態です。腎臓の超音波検査で診断することができますが、よほどひどい血尿の場合を除いて治療は必要ないということになっています。
 また、これ以外にも尿路感染症や外陰部の荒れがあった場合にも尿検査で潜血陽性になることがあります。

 以上のように尿潜血陽性にはさまざまな原因が考えられるのですが、潜血が「1+」「2+」程度であれば、まずはかかりつけ医で検査を定期的に行うことでよいと思います。「3+」以上の陽性であったり、たんぱくも陽性になる場合には腎臓の専門医がいる総合病院の小児科を紹介してもらうのがよいでしょう。
 微量の赤血球だけが尿中に漏れている状態を「微小血尿」や「無症候性血尿」と呼びますが、原因がわからないことも少なくなく、また多くは自然に血尿が改善します。食事や運動など、生活にとくに気をつけることはありませんので、定期的に検査を続けてください。