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発育・発達

Q. 2歳の男の子。身長の伸びが悪く「−2SD」ぎりぎりの数値で気がかりです。 (2015.3)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳になったばかりの男の子です。身長について質問します。0歳のときは小さいと言われながらも順調に成長し、伸び率は25.2cm、体重6kgと一般的な伸び方でしたが、1歳のときの伸びはわずか6.2cm(体重は1.65kg)とかなり悪く、気がかりに感じています。生まれたときは37週6日で体重2,912g、身長48cmでした。現在は79.5cm、11kgと−2SDぎりぎりの数値です。手元の資料には、「3歳で86.4cm以下の場合はお医者さんに相談してください」とあります。ちなみに、父親は162cm、母親は159cmです。今後、「低身長」と診断されなかった場合は治療できず、身長が伸びないままになってしまうのか不安に感じています。3歳まで成長を見守るべきでしょうか? それとも早めに専門医に相談すべきでしょうか。見た目を気にする母親は情けないとも思いますが、アドバイスをいただきたいと思います。

回答者: 多田裕先生

 生まれたときには体が小さくても成長につれて標準に追いつく場合も多いので、3歳前後を目安に、身長が標準偏差−2以下(−2SD)のときに「低身長」と診断されます。

 原因はさまざまで、たとえば、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどホルモンの分泌異常によるもの、ターナー症候群やプラダウィリー症候群などの疾患によるもの、先天的な染色体異常によるものなどがありますし、腎臓や肝臓、心臓に慢性的な疾患があるために身長が伸びない場合もあります。また、虐待的な環境に置かれたり、強い精神的なストレスがあったり不適切な養育環境が発育に悪い影響を与えることもあります。

 さらに、低出生体重児のなかに「SGA児」といって在胎週数に比べて身長・体重が小さい赤ちゃんがいて、多くは2歳前後には標準値に追いついていくのですが、なかには標準値に入らない場合があり、そうしたお子さんは生涯にわたって小柄なことが多いようです。

 しかし、なかには、育児環境も適切で健康面でも問題がないのに身長があまり伸びないというお子さんもいて、そういう場合の多くはご両親も小柄で、遺伝的な体質によるものと考えられます。

 こうしたことから、乳幼児期の身長・体重の伸びが悪いときは、まず、発育を阻害する基礎的な疾患がないかどうかをきちんと調べ、必要があれば速やかに適切な治療を開始することが大切です。不適切な育児環境など精神的なストレスが原因となっている場合には、その改善を図ることも重要です。

 現在、成長ホルモンの分泌不全や、成長ホルモンは分泌されているが感受性が悪くて通常の量では足りないために起きる低身長症について、成長ホルモンを投与する治療が行われています。最近では、治療対象がやや広がったこともあり、身長の伸びが悪いお子さんに治療を希望する親ごさんもいます。

 ただ、使用が許可されている疾患の診断基準に合致している場合には成長ホルモンによる治療をお勧めしますが、薬には副作用もありますので、それらの異常が無くただ背が少し低いだけの場合には安易な使用は勧められません。たとえば、成長ホルモンが正常に分泌しているお子さんに薬を用いれば過剰となり、末端肥大症や巨人症の様な異常となる可能性も考えられますし、糖尿病になりやすいなど合併症のリスクもあります。

 まずは、この治療がお子さんの発育や健康にどんなメリットをもたらすのか、また、その他の処置では改善しないのかなど、検査や診断をもとに専門医と十分に相談することが大切です。 
 
 これらのことを踏まえ、ご相談のお子さんについて見てみましょう。まず、生まれたときから現在までの身長・体重を、母子健康手帳にある乳幼児身体発育曲線に書き込んでみましょう。出生時の身長・体重は曲線の中の標準値の帯(同じ月齢の子100人のうち94人が入ります)の真ん中あたりですが、現在は、体重は帯の下方に入っているものの、身長は帯の下線ぎりぎりの値です。確かに、やや伸びが悪く、心配される親ごさんのお気持ちはよくわかります。

 ご質問に腎臓や心臓、肝臓などの疾患や、遺伝的な病気や染色体異常の症状について記載がないことから、発育に悪影響を与えるような病気はないものと思いますが、成長ホルモンの分泌不全では身長が次第に標準から外れていくこともあります。

 ご心配なら、3歳まで待つ必要はないので、一度検査を受けて治療が必要な病気がないか確認しておくことをお勧めます。その結果、治療が必要な病気があると診断されたときは、適切な治療を積極的に受けてください。

 こうした医療的な配慮に加えて、子どもの心身の健やかな発育には栄養や運動、生活リズムが大きな影響を与えます。とりわけ、たんぱく質が豊富なバランスの良い食事が重要です。私は育児相談などで、お子さんの体格が小さいことを心配している親ごさんたちには「よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ」生活環境を整えてくださいと伝えています。この3つは相互に関連し合い、子どもの成長ホルモンの分泌を促して成長期の発育・発達に良い影響を与えます。さらに、意欲に溢れた積極的な生活態度や明るい性格などこころの発達にも良い影響があるものと思います。

 背が少し低いだけで健康や活動に困ったことが無いなら、背のことはあまり気にしないで、お子さんが楽しい生活を送れるように応援してあげてください。

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