赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 生後3か月。予防接種後に発熱を繰り返します。今後の注意を教えてください。 (2015.5)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月です。先日、予防接種を受けました(ヒブ・肺炎球菌・ロタ・B型肝炎2回目、四種混合初回の同時接種)。はじめて接種した翌日に38.0℃の発熱がありました。今回も接種した日の夕方から発熱し、夜には39.2℃となりました。副反応でここまで上がるのか判断がつかず、小児救急電話相談で相談したところ、救急受診を勧められて受診しました。レントゲン・血液検査の結果、炎症反応などは見られないが副反応とは断定できないこと、月齢3か月以下の発熱は慎重に対応するとのことで、抗生物質を投与して様子を見ましょうとの診断で入院しました。入院当日に熱は下がり、翌日の血液検査でも問題なく、おそらく副反応だったのだろうとのことで退院しました。予防接種は生後2か月から受けられるとのことで早めに接種を始めたのですが、副反応による発熱かどうか判断が難しい3か月以下ではなく、4か月以降に接種したほうがよかったのでしょうか。また、今後の注意点についても教えてください。

回答者: 横田俊一郎先生

 ワクチンには「アジュバント」といって、ワクチンに含まれる抗原を増強して免疫をつけやすくする物質が含まれているものがありますが、この物質が発熱を起こしたり、接種部位に硬いしこりを残したりすることがあります。とくに肺炎球菌ワクチン接種後には発熱が多い印象があります。

 不活化ワクチン接種後の発熱はほとんどが24時間以内に起こり、大部分は1日以内に治まることが判っています。全身状態も悪くなることはほとんどありませんし、あとに問題が残ることもありません。一般的には、接種前に親ごさんにこのことを説明し、接種当日あるいは翌日午前中くらいに起こった発熱はほとんどが予防接種の副反応であるので、慌てずに半日か1日様子を見るよう伝えておきます。もちろん、元気がまったくない、呼吸が苦しそう、意識がはっきりしないなどの問題があればすぐに受診しなくてはなりません。

 一方で、生後3か月以内の発熱は細菌性髄膜炎や敗血症、尿路感染症などの重症な病気が原因のこともあり、小児科では慎重に診察にあたるよう決められています。ご相談のお子さんのように、検査をしたり入院して経過を見たりすることもめずらしいことではありません。小児科医のなかでも、このように重症疾患との区別が難しい時期に発熱の多いワクチンを接種するのは問題ではないかという意見があるのも事実です。

 しかし、これらのワクチンによって防ごうとしている病気の発症時期を考えてみてください。国立感染症研究所のデータ()を見てもわかるように、ヒブと肺炎球菌による髄膜炎は生後2か月から増えてきます。もし、これらのワクチンの接種時期を生後4か月以降にすると、生後2〜4か月でこの病気にかかる赤ちゃんが確実に増えることになるのです。

 この事実を知れば、生後2か月からワクチン接種を開始しなくてはならない理由が理解できると思います。3か月未満児の発熱には確かに慎重にならなくてはなりませんが、それ以上に、この月齢で細菌性髄膜炎にかかる赤ちゃんを減らすことのほうが大切なことなのです。細菌性髄膜炎にかかれば亡くなることもありますし、後遺症を残すことも少なくないからです。

 予防接種後に熱が出たときには、お子さんの状態をきちんと見極められる保護者の目が必要になります。状態が悪ければもちろん受診しなくてはなりませんが、熱以外に大きな問題がないのであれば翌日まで自宅で様子を見る勇気をもつことも大切なのです。

 ご相談のお子さんのように、接種のたびに熱を出すお子さんもいますが、回数を重ねると熱が出なくなることも多いので、次の接種も予定通り受けてよいと思います。

http://www.nih.go.jp/niid/ja/corynebacterium-m/corynebacterium-idwrs/2113-idwrs-1216.html の図3-2