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病気・予防接種

Q. 胎盤剥離で大量出血し、重症新生児仮死と診断されました。成長・発達が気がかりです。 (2016.1)

  • (妊娠週数・月齢)0か月

胎児エコーで赤ちゃんの貧血が疑われ管理入院しました。36週5日で陣痛があり、陣痛室で大量出血しました。胎盤剥離でした。その時点で子宮口が10cm開いていたため、吸引分娩となりました。胎内で既に酸素が来ていなかったそうで、診断は「重症新生児仮死、低酸素性虚血性脳症疑い」でした。脳低体温療法、人工呼吸を行い、6日目に人工呼吸器が外れて経口哺乳を開始し、経過良好で14日目には酸素などすべてのサポートが不要になりました。MRIを2回撮り、「問題所見なし、運動も問題なし」と言われましたが、先生からは「予後は様子を見るしかない」と言われています。定期的にリハビリをして発達を促すとのことですが、これからの成長や発達が心配です。障害などが残る心配はありますか。これから、どのように育てていけばいいでしょうか。

回答者: 板橋家頭夫先生

 重症新生児仮死があり、直ちに行われた脳低体温療法により、現時点では哺乳もしっかりしており、さらに脳MRI検査上も明らかな異常はないとのこと。ほんとうに素晴らしい結果だと思います。

 脳低体温療法を行った新生児のすべてがお子さんのような状況になるわけではなく、ときに死亡したり、あるいは新生児期に神経学的障害を併発することがあります。したがって、お子さんが入院していた新生児集中治療室(NICU)のスタッフの方々のレベルの高さを物語るものだと思います。

 神経学的障害が今後出現するかどうかは、分娩前後の状況やお子さん自体の低酸素状態への対応力など多くの要因に左右されるため、一概に障害が何%発生するとはいえません。また、個人の障害を高い精度で予知することは困難です。お母さんが不安をもっていらっしゃることはよく理解できますが、現時点では、明らかな異常所見が存在しない以上、主治医の先生がおっしゃるように経過を見守っていくほかないように思います。

 重症疾患などのあるお子さんをもつご家族が、不安のあまりインターネットでさまざまな情報を検索し、その結果に一喜一憂することはよくあります。しかし、これらの情報はあくまでも一般論であり、繰り返しになりますが、お子さんの状況に当てはまるかどうかの保証は誰にもできません。

 大事なことは、自宅でお母さんが医療者のごとくお子さんを観察することではなく、生存できたわが子の命を慈しみながら、ともに暮らせることの幸せを感じ、楽しく育児をすることではないかと思います。このように回答しても、いまの不安がすっきり解消することはないかもしれません。そのようなときこそ、家に引きこもらないで信頼できる方々に相談することがよいかもしれません。また、ときには時間をとって夫に思いのたけを話すことも大事です。