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病気・予防接種

Q. 生後5か月。B型肝炎ワクチンの今後の接種に不安を感じています。 (2016.2)

  • (妊娠週数・月齢)5か月

生後5か月です。2か月から予防接種を受けてきた小児科クリニックで、「化血研の問題でB型肝炎ワクチンが不足している。在庫がなくなるので接種できないかもしれない」と言われました。すでに、このクリニックで2回、B型肝炎ワクチンの接種を済ませていますが、今後のことが不安です。以下の点について、アドバイスをいただけたらと思います。
①接種する病院を変えて、残りの回数を接種することはできますか。
②接種の間隔があきすぎると、最初からやり直さなければなりませんか。
③違うメーカーのものに変えたら最初から打ち直しだと聞きました。ほんとうですか。
④問題のあったメーカーのワクチンを接種してしまったわけですが、健康への影響はありませんか。

回答者: 横田俊一郎先生

 B型肝炎の予防接種は世界のほとんどの国で行われていて、日本でも平成28年度中に定期接種となることが決まっています。任意で接種している子どもも多くなっていますが、化血研がワクチン製造の過程で必要な報告を怠ったことなどが原因で、ワクチンの出荷を自粛することになり、流通するワクチン量が極端に少なくなりました。そのため、ワクチンの接種を見合わせるクリニックが増えていましたが、2月になって自粛も解除となり、流通量も増えてきています。しかし噂が広がって、化血研のワクチンを不安に思う方も増えています。以下、ご質問に沿ってお答えしましょう。

①接種する病院を変えて、残りの回数を接種することはできるか?
 もちろん問題はありません。接種する病院が変わっても、同じワクチンを接種するのであれば何の支障もありません。日本で発売されているB型肝炎ワクチンには2種類あり、化血研の「ビームゲン」と米国メルク社の「ヘプタバックスII」です。2つのワクチンは製造のために使われるB型肝炎ウイルスの遺伝子型が異なっていて、決められた3回の接種は同じ種類のワクチンで行うことになっています。

②接種の間隔があきすぎると、最初からやり直さなければならないか?
 接種の間隔が長くなってもほとんどの場合は免疫がつくと考えられています。2回目と3回目の間隔については、決められている6か月を過ぎても12か月くらいまではむしろ抗体の上がりがよいという報告さえあります。多少間隔があいても多くの場合は問題なく、打ち直しの必要もありません。不安なときには、3回目の接種後1〜2か月で抗体検査を行い、抗体が上昇しているのを確かめておくのがよいでしょう。

③違うメーカーのものに変えたら最初から打ち直すのか?
 前述したように、現在の日本では化血研の「ビームゲン」と米国メルク社の「ヘプタバックスII」の2種類のワクチンがあります。ビームゲンは遺伝子型Cのウイルスから、ヘプタバックスIIは遺伝子型Aのウイルスから作られています。日本のB型肝炎ウイルスの多くは遺伝子型Cであることがわかっていますが、近年は欧米などから遺伝子型Aのウイルスが持ち込まれることが増えています。異なった遺伝子型のウイルスに対してはワクチンの効果が落ちるのではないかと懸念されたこともありますが、さまざまな研究から遺伝子型の違いによって予防効果に違いはないことがわかってきました。

 どちらのワクチンを使ってもよいわけですが、3回の接種を異なったワクチンで行った際のデータについては確かな報告がなく、現時点では同じワクチンで3回の接種を済ませるべきと考えておくのがよいでしょう。

④問題のあったメーカーのワクチンを接種したが、健康への影響はないか?
 この点については心配されている方が多く、小児科の外来でも時々質問を受けます。化血研のワクチンが問題とされた原因はひと言では説明し難いのですが、製造方法を変更したことを適切に国へ報告していなかったことが挙げられています。しかし、すべてのワクチンの品質及び安全性等の評価項目については、国家検定を行い国立感染症研究所で試験を実施しています。化血研製品についても、これらの試験に合格しているものなので、安全性には問題ありません。また、実際に効果や副反応に関する新たな報告も見られていませんので、接種に問題はないと考えてよいでしょう。