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発育・発達

Q. 発達が早い6か月の娘。はいはいの期間を長くするように言われました。 (2016.4)

  • (妊娠週数・月齢)6か月

6か月の女の子です。4か月で寝返りをし、5か月ではいはいを始め、6か月の今ではつかまり立ちもします。親として、その成長に喜びを感じていたのですが、地域の子育て広場を訪れた時、職員の方から「発達が早すぎる。もっとはいはいさせる期間を長くしないといけないから、立ち上がらないようお尻を床につけさせるように」と、指摘されました。なぜ、はいはいさせる期間を長くしないといけないのでしょうか?せっかくの発達を邪魔するようなことをしてもよいのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 運動発達が早すぎるのが心配というお話も、よく相談されることのひとつです。それは、はいはいを十分にしないと足腰が弱くなる、あまり早くから立つと足に負担がかかってよくない、などと言う人がいるからだと思います。

 それでは、運動発達が早すぎたことによって、本当に成長してから問題が起こった子どもがいるのか、ということを考えてみると、私の経験においては、そのような子どもを診たことがありません。小児科の教科書を見ても、乳幼児健診に関する本を見ても、運動発達の早い子には注意が必要と書かれたものに出会ったことがありません。

 子どもの運動発達には、個人差が大きいという特徴があります。もちろん運動発達が大幅に遅れるような場合には、病気の可能性もありますが、早いということが病気によるものだということはありません。

 どうして個人差があるのかははっきりしていませんが、理由のひとつとして遺伝がありそうです。きょうだい揃って運動発達が早いというケースによく出会いますが、一方で、きょうだいでも全く発達のスピードが違う子たちもいます。また、小柄な子に運動発達の早い子が多いという傾向があります。これは、身体を支える筋肉の力が少なくて済むからだと思われます。もう一つ大事なのは環境です。周囲の人がよく関わってくれて、いろいろなものに感心があるような子どもでは、運動発達が早くなることが多いようです。一方で、虐待の一つであるネグレクトの状態で育った子どもは、発達が遅れることが知られています。

 以上のようなことから、運動発達が早いことを心配する必要はありません。立って歩こうとする子どもを、わざわざはいはいさせることはできないでしょう。足腰の力があるからこそ立とうとするのですし、長い人生において、足腰を鍛える機会はこれから先も山ほどあります。子どものやりたいように運動させておけばよいのです。ただし、動く範囲が拡がると事故が起きる機会も増えますので、それだけは注意しておいてください。