病気・予防接種
Q. 7か月です。肛門まわりに赤い膨らみ。ひどくなる前に病院に行くべきでしょうか? (2016.10)
7か月半の息子です。2週間前から便が硬くなり、直径3cmぐらいのうんちが1日4、5回出るようになりました。最近は量も増え、軟らかくなってきていますが、まだちょっと硬いようです。おとといから肛門の近くに膨らみができ始めて、ちょっと赤くなっています。昨日からうんちしたら座浴して、ワセリンを塗っています。本人は機嫌よく、1日2、3回うんちをしていますが、見ていて傷が痛々しく、ひどくなったらどうしようと不安です。病院に行ったほうがいいですか? それとも自宅ケアで治るものなのでしょうか?
ちなみに食生活ですが、離乳食は2回食でよく食べ、ミルクは1日2回160mLぐらい飲み、それ以外にもお水200mL、スイカジュース120mLの水分補給、ヨーグルト100mLを間食で食べています。
回答者: 横田俊一郎先生
男の乳児で肛門近くの赤味のある膨らみと言えば、肛門周囲膿瘍を考えます。乳児痔瘻(じろう)とも呼ばれていて、直腸と肛門の境になる歯状線という場所にある小さなくぼみ(肛門陰窩と呼ばれます)に感染が起こり、くぼみにつながる肛門腺に感染が拡がって肛門周囲が腫れてきます。乳児期前半の赤ちゃんでは、おむつかぶれによる皮膚からの感染が原因となるという説もあります。
症状は、肛門周囲の腫れのほかに、膿瘍が破れて膿が出てくることがあり、少し改善してはまた悪化するという経過をとることもよくあります。また、排便時などに痛みのために機嫌が悪くなって泣くことがあります。
治療は、下痢や便秘があればそれを改善し、排便後に肛門の周りをよく洗って清潔にすることが第一です。ひどく腫れているときには、膿瘍を切開して膿を出してあげることが必要になりますが、このようなときは外科、できれば小児外科の先生に相談するのがよいと思います。
抗菌薬を服用することは必要ないとされていますが、症状によっては抗菌薬の内服薬や外用薬が処方されることもあります。また、十全大補湯という漢方薬がよく効くことがわかっていて、小児外科でもこの薬を処方されることが多いと思います。肛門の奥と肛門周囲の間に瘻孔ができて治り難いときには手術が必要になることもありますが、大部分は1歳過ぎに治ってきますので、心配しすぎる必要はありません。
ご相談の男の子は、腫れが軽度であればまずは肛門周囲を清潔にして様子を見て、腫れがひどくなる、あるいは症状が長引くときには、小児科あるいは小児外科の先生に相談するのがよいと思います。食事は特に注意をする必要はありませんが、便通が整うようバランスの取れた食事を心がけてください。