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病気・予防接種

Q. 生後6か月。レントゲン撮影の回数が多くて心配です。 (2016.11)

生後6か月の娘は、今までに4回もレントゲン撮影をしました。2回は股関節脱臼の疑いで、1回はおむつの上から、1回は服の上から、いずれもプロテクターはなしでした。さらに、尿路感染症になり、膀胱造影検査1回、それとは別にレントゲン1回、すべて生殖器付近の撮影ですので、不妊への影響などないか心配です。病院では、「大丈夫ですよ」だけで詳しい説明をしていただけず、余計不安になってしまいました。ちなみに、股関節の方は、これからも定期的にレントゲン撮影の必要があり、次は1歳の時に予定しています。実家への移動手段も飛行機が必須なので、他の子よりかなり多く放射線に被ばくしているのでは?と、こちらも気になります。乳児だと大人より強く影響を受けたりするのでしょうか?

回答者: 板橋家頭夫先生

 X線を使った検査を行う際に、ご両親からしばしばいただく質問です。子どもの場合には、成人に比べてX線検査のために必要な線量は少なくて済みます。また、生殖器付近の撮影であっても、5回の単純X線撮影による線量は、遺伝的影響がおこり不妊になる被ばく線量のレベルに比べてはるかに少ないものです。ちなみに1回の股関節のX線検査では0.2mSV程度の被ばく量です。SV(シーベルト)とは、放射線被ばくにより人体に吸収された線量をもとに生物学的な影響をみるための数値をいいます。

 また、生後6か月で装具を必要とするような状況でないようですので、おそらく今後くりかえし股関節のX線検査をすることはないと思われます。膀胱造影については、透視した時間や撮像した静止画像の枚数にもよりますが、多く見積もっても2〜3mSV程度だと思います。

 X線撮影時は、生殖腺を保護し無用な被ばくを避けるためにプロテクターを用いることが原則です。しかし、プロテクターを用いることにより撮影で得られる情報が少なくなってしまうデメリットのために使用しなかった可能性があります。いずれにせよ、ご心配でしたら放射線技師の方に率直にその理由をお尋ねになったらよいと思います。

 なお、飛行機に搭乗すると平地に比べて自然放射線による被ばく量が増えますが、それでもまる1日で0.1mSV程度です。子どものほうが成人に比べて放射線の影響を受けやすいとはいっても、X線を使った検査に加えて飛行機での移動を考慮しても、お子さんに今後影響が出る可能性はないと考えられます。