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病気・予防接種

Q. 伝染性単核球症にかかった3歳の娘。咳と微熱が続いて心配です。 (2017.3)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

3才の娘が3週間前に伝染性単核球症と診断されました。40度前後の発熱、首のリンパの腫れ、瞼のむくみ、鼻づまり、軽い咳がありました。10日程高熱が続き、徐々に39度38度と下がり始めた頃、咳が目立つ様になり、肺炎をおこしてしまいました。伝染性単核球症と診断されてから3週間以上経った今も咳が続き、平熱から38.5度辺りを行ったり来たりしています。伝染性単核球症とは、こんなにも熱が続くものなのでしょうか?慢性活動性EBウイルス症候群などの可能性があるのでしょうか?なかなか治らないのでとても不安です。あと、伝染性単核球症とは肺炎をおこすこともあるのでしょうか? 病院には何度か行きましたが咳止めの薬だけで様子を見ましょうと言われています。もう少しで1か月になるので、下がらない熱が心配でたまりません。

回答者: 横田俊一郎先生

 伝染性単核症は発熱、扁桃炎、頚部リンパ節の腫れ、発疹などとともに、血液中に異形リンパ球という、正常とは異なった形のリンパ球が増える病気です。大部分はEBウイルス(Epstein-Barr virus)によっておこります。EBウイルスはアフリカやパプアニューギニアのマラリア流行地域に発生する、小児の悪性リンパ腫の一種であるバーキットリンパ腫の患者から発見されたヘルペス族のウイルスです。その後の研究で、伝染性単核症の原因ウイルスであることがわかりました。

 日本では2〜3歳までに70%くらいが感染を受け、20歳代では90%以上が抗体を持っていることがわかっています。つまり、ほとんどの人が無症状で感染しており、一部の人が伝染性単核症となります。目の周りが腫れぼったくなったり、血液検査で肝機能が悪くなったりすることもよくありますが、大部分は1〜2週のうちに改善します。また、まれではありますが、ごく一部の人においてEBウイルスが感染したリンパ球が腫瘍性に増殖し、さまざまな症状を引き起こすことがあります。この状態は慢性活動性EBウイルス症候群と呼ばれており、治療が難しく予後の悪い病気です。

 ご相談のお子さんは3週間も発熱や咳が続いており、一般的な伝染性単核症としては確かに経過が長いです。しかし、伝染性単核症の症状が長引くことは比較的よくあることで、肺炎や慢性の肝炎、血球貪食症候群と呼ばれる状態がしばらく続くこともあります。EBウイルス感染に効果のある薬はありませんので、大きな合併症がなく全身状態が悪くない場合は、経過をみることが中心にならざるをえません。

 慢性活動性EBウイルス症候群はたいへん重症の病気で、治療を受けている病院が、地域の医療の中心となっている大きな病院であれば、担当の先生はもちろんその可能性を考えて検査を行ってくれているはずだと思います。「様子を見ましょう」と言ってくださっているのは、その可能性が小さいからだろうと考えますが、詳しいことは担当の先生から時間をかけて説明を受けるのがよいと思います。