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発育・発達

Q. 低体重で生まれた4か月の男児。生活習慣病のリスクが高くなるのでしょうか。 (2018.6)

  • (妊娠週数・月齢)4か月

36週6日で2190gの子を出産しました。現在4か月に入るところで身長・体重ともに曲線内に入っております。先日、ドーハッド説の記事を見かけ、低体重児は将来生活習慣病のリスクが高いと知りました。それは、すべての低体重児に当てはまるのでしょうか?リスクを回避する方法があるのでしょうか?また、早産で低体重ほど腎臓のネフロンの数が少なく、将来高血圧、腎疾患のリスクも高いとありました。こちらに関しても対策できることがありましたら教えてください。

回答者: 板橋家頭夫先生

 質問者の方が見かけた記事にあったドーハッド説のドーハッドとは、Developmental Origins of Health and Diseaseの各単語の頭文字(DOHaD)をとったものです。糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病など成人期の慢性疾患の多くの源が、胎児期や生後早期の環境の影響を受けているのではないかという考え方です。

 従来、生活習慣病は、遺伝と成人期の生活環境(食生活やストレスなど)によって起こると考えられてきましたが、最近になって子宮内環境を含めて発達期の環境も関与することが明らかにされています。発達期の環境が悪いと精子や卵子、受精卵、胎児、新生児・乳児の代謝・内分泌機能が環境に適応するために変化しますが、その変化がその後の環境とマッチしないと生活習慣病発症のリスクが高くなるというものです。

 ドーハッド(DOHaD)の考え方では、早産(妊娠37週未満で出生)や低出生体重児(出生体重2500g未満の赤ちゃん)だけではなく、妊娠37週以上、あるいは2500g以上で生まれた赤ちゃんでも、発達期の環境によって大なり小なり代謝・内分泌機能は影響を受けると考えられています。確かに、これまでの研究では、早産児や低出生体重児に生活習慣病や慢性腎臓病のリスクが高くなる傾向にあることが推測されていますが、このような結果は40週前後、2500g以上で出生した人々の集団との比較であり、個々のお子さんが将来そのようなリスクを持つかどうかを正確に予測する臨床的手段は確立されていませんし、すべての早産児や低出生体重児が生活習慣病を発症するわけではありませんので、過剰な心配は不要です。 

 明確な予防法があるわけではありませんが、小さく生まれたからといって早く大きくしようと母乳を人工乳に変えるというやり方は、かえって内臓脂肪が蓄積しやすくなる懸念がありますので避けた方がよいでしょう。また、歩行が可能となる幼児期には外で遊ばせるなど適度な運動をおすすめします。その他、乳幼児健診や学校健診をきちんと受けさせることも必要です。要は、特別な配慮は不要で、健全な育児を行い、健診をきちんと受けることが予防や早期発見につながると思います。