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病気・予防接種

Q. 耳瘻孔のある2か月の息子。耳瘻孔について詳しく教えてください。 (2019.1)

  • (妊娠週数・月齢)2か月

2か月の息子には、左耳の耳輪部に小さな穴のような点があります。インターネットで調べたところ、耳瘻孔(じろうこう)の写真と同じなので、耳瘻孔なのだと思います。遺伝することもあるようですが、夫婦もその両親にも耳瘻孔のある人はいません。悪臭のする油脂が出たり、炎症を起こして腫れたりすることもあるようですが、そうなったらどうしようと不安な気持ちでいっぱいです。炎症を起こす前に手術で摘出することもできるようですが、早くに治療した方がよいのでしょうか? 入浴時や汗をかいたとき、かゆみを訴えたときの対応など、生活面で気をつけるべきことなど、詳しく教えていただきたいです。

回答者: 横田俊一郎先生

 耳瘻孔は、胎児期に耳たぶが作られるときに残ってしまったすき間です。日本人ではだいたい50人に1人くらいにあると考えられています。遺伝することもあるようですが、遺伝性の強い病気ではありません。耳たぶの前部にできる場合が最も多く、耳たぶの外縁や耳の中にできることもあります。

 一生何も起こらないことが多いのですが、瘻孔の中に感染が起こると瘻孔が赤く腫れ上がったり、悪臭のある分泌物が出たりします。そうなると抗菌薬を内服し、必要な場合には切開して膿を出すことになります。どの程度の割合で感染を起こすかについての報告を見つけることができませんでしたが、耳瘻孔の感染で小児科外来を受診する患者さんの頻度を考えると、非常に少ない割合だろうと思います。

 ただし、一度感染を起こすと繰り返しやすいことがわかっています。したがって、感染を繰り返すようなときには、手術で瘻孔を取り除くことが必要になります。瘻孔は奥行きが1cm以上あることや、タコ足状に枝分かれしていることもあり、通常は全身麻酔のもとで顕微鏡などを使って完全に除去しなくてはなりません。

 何度も感染を起こした耳瘻孔は、手術後も再発する可能性が高くなることがわかっていて、手術時期は遅くならないことが大切です。病院によっては化膿する前に予防的に手術することもあるようですが、感染を起こす頻度を考慮して決める必要があり、すべての人に勧められるわけではありません。

 瘻孔の周囲を押すと白いカスのようなものが出てくることもありますが、手で触っていると感染の機会を増やすことにもつながるので、触らせないことが大切です。そのほかには日常の生活で、特に気をつけることはありません。