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病気・予防接種

Q. 1歳の男児。川崎病の治療後、はしかの予防接種はいつからできますか? (2019.7)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

1歳になったばかりの男の子です。生後7か月のときに川崎病にかかり、免疫グロブリンの大量投与を行いました。入院先の医師から、はしかの予防接種は11か月以上あけてから受けるよう指示されましたが、かかりつけの小児科では6か月以上あければ接種可能と言われました。最近、はしかの流行地域に行ったので感染が心配です。免疫グロブリンを投与されてから5か月くらいたちますが、はしかにかかる可能性はありますか?また予防接種については何か月たてば接種可能なのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 川崎病の免疫グロブリン大量療法は、大量の免疫グロブリンを点滴し、川崎病のときに起こっている炎症を抑えて、冠動脈に病変を作らないことを目的としています。免疫グロブリンは、いろいろな病原体に対する抗体をたくさん含んでいる血液の一成分で、はしかに対する抗体も含んでいます。

 免疫グロブリン大量療法の直後は、血液中にはしかの抗体も増えているので、はしかワクチンに含まれるウイルスが増えることができず、免疫ができにくくなる可能性があります。しかし、治療によって体内に入った免疫グロブリンは、時間とともに減っていきます。そこで、免疫グロブリン大量療法を受けた後は、ある程度間隔をあけてからはしかのワクチンを接種することになっています。
麻しん風しん(MR)ワクチンの添付文書には以下のように書かれています。ガンマグロブリンは免疫グロブリンとほぼ同義と考えてください。

<接種前 3か月以内に輸血又はガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は、本剤の効果が得られないことがあるので、3か月以上すぎるまで接種を延期すること。また、ガンマグロブリン製剤の大量療法、すなわち川崎病、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療において200mg/kg以上投与を受けた者は、6か月以上(麻しん感染の危険性が低い場合は11か月以上)すぎるまで接種を延期すること。>

 したがって、現在の日本のように、はしか患者がある程度いる状態では、6か月以上過ぎればはしかのワクチンを接種してよいというのが答えになります。また、はしかがほとんどない状況なら11か月過ぎてから接種してもよいと思います。

 免疫グロブリン大量療法の後ははしかの抗体も増えているので、はしかにかかりにくい状態とは考えられますが、かかる可能性はなくはありません。6か月を過ぎたらワクチンを受けるのがよいでしょう。免疫がじゅうぶんにできないことが心配なら、任意接種となりますが、3か月後にもう一度受けておくことも可能です。

 また、不活化ワクチンのすべて、生ワクチンでもBCGとロタウイルスワクチンは免疫グロブリンの影響を受けませんので、川崎病が治って健康な状態になれば接種することが可能です。