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食事と栄養・離乳食

Q. 3か月半の娘。将来の肥満が心配で、ミルクの量に悩んでいます。 (2020.6)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月半を過ぎた娘がいます。将来太りやすい体質にさせたくないので、ミルクの量で悩んでいます。現在、ほぼ完全ミルクでの授乳で、普通より少なめの量、1日に120mLを5回与えているのですが、5分足らずで飲み干し、足りないのか泣いてしまいます。増やしてあげたいのですが、体重が曲線の50%より少し高めを推移しています。出生時は3300g 51cmでした。現在身長は平均より少し低めです。ミルクの量を赤ちゃんが求めるままに増やしていくと、将来太りやすい体質になるのでしょうか? 肥満細胞の数が増えるタイミングは3回あり、それは胎児期・乳幼児期・思春期だという文献をみつけたため心配です。将来、生活習慣病になりやすい体にならないよう気をつけてあげたいという気持ちと、満足ゆくまで飲ませてあげたいという気持ちの両方があり、悩んでいます。ミルクの量以外にも、将来太らないために気をつけることを教えてください。

回答者: 板橋家頭夫先生

 一般的にこの時期でしたら、1回の授乳量のめやすは200mL程度(5回/日)ですので、120mLでは、お子さんは、おなかがすくと思います。ミルクの説明書に記載されている量に戻してあげてください。市販のミルクは、たんぱく質やエネルギー(カロリー)のみならず、そのほかの栄養素もバランスよく配合されています。そのため、過体重や肥満、生活習慣病のリスクが心配だからと授乳量を制限すると、たんぱく質やエネルギー摂取量が制限されることによって体重増加を抑制できる可能性はありますが、一方で骨、筋肉、脳などの発育に必要なそのほかの栄養素の摂取量まで不足してしまう懸念があります。

 お子さんの将来の過体重や肥満のリスクは、受精から生後2歳あたりまで(「最初の1,000日」という表現が用いられています)の影響が反映されることは広く知られていることです。具体的には、母体の背景(つまりは胎児に影響するという意味です)や、新生児期・乳児期の栄養や成長などが関係します。将来の過体重や肥満のリスクは、なにも乳児期の体重増加ばかりではなく、反対に飢餓ややせなどもリスクとなります。

 人工乳は将来の生活習慣病のリスク因子の一つといわれてはいますが、唯一の要因というわけではなく、あくまでも集団のデータであって、個々のお子さんのリスク予測に役立つ有効な指標は確立されていません。あなたのお子さんが一般的な量のミルクを飲んだからといって必ずしも生活習慣病のリスクが高くなるといわけでもないのですから、適切な成長や発達のために重要なこの時期に授乳制限は避けたほうが安全です。

 母子健康手帳の中に記載されている体重や身長、頭囲の発育曲線は、お子さんの発育を評価するうえでの参考にはなりますが、この通りに発育しなければならないわけではありません。お子さんが多少小柄であっても、逆に大柄であっても許容できるかどうかは、お子さんの発達や病気の有無によって判断されますので、過剰にこだわる必要はなく、定期的な健診で評価してもらえばよいと思います。

 なお、肥満や過体重の予防として確立した方法はありませんが、乳児期では離乳食の開始を6か月ごろにすることやスキンシップをしながらお子さんと遊び、育児を楽しむことが良いと思います。