赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー発育・発達

発育・発達

Q. 妊娠29週で極低出生体重児を出産。病気や障害のリスクについて教えてください。 (2021.8)

  • (妊娠週数・月齢)0か月

先月、29週6日で1,385gの極低出生体重児の赤ちゃんを出産しました。一応経過は良好で、出産翌日に気管挿管は離脱でき、現在生後2週間で点滴も終了して、胃管から母乳を投与しています。医師から早産であることで、脳性まひや呼吸、消化器疾患のリスクがあることや、今後、発達障害や知的障害、自閉症のリスクが高くなることを聞きました。具体的にどの程度、リスクが高くなるのでしょうか。私のせいで赤ちゃんにリスクを負わせてしまいとても不安です。

回答者: 板橋家頭夫先生

 早産・極低出生体重児で出生しNICUに入院中とのこと、さぞ不安な思いをされていることと思います。人工呼吸器からの離脱もスムーズで、さらに生後2週間で輸液を終了できていることから、順調な経過をたどっているものと思われます。

 NICU入院中の合併症で神経学的予後に影響を及ぼしかねないのは、脳室内出血や脳室周囲白質軟化症(脳の解剖学的・生理的未熟性を基盤に発症する中枢神経系の合併症)や、重症感染症、慢性肺疾患(肺の未熟性と二次的ダメージのために予定日近くになっても酸素投与や人工換気が継続している状態)などが代表的です。

 ここまでの経過から推測するとこれらの合併症のリスクは低いと考えられます。NICU退院後では、精神運動発達遅滞(発達面の遅れ)や脳性まひ、発達障害(自閉スペクトラム症など)が問題となります。在胎32週未満で出生したお子さんでは、精神運動発達スコアの平均値は20~30%低いと報告されています。また、発達障害のリスクが数倍高いという報告もあります。しかし、このような統計学的数値は集団の傾向を示しているだけで、個々のお子さんの予後を予測するものではなく、NICU入院中の小さなお子さんのケアの向上を目指すための指標なのです。また、早産の多くが子宮内の炎症により起こると考えられており、適切に予測・予防することは困難です。したがってお子さんが小さく生まれたことで自分を責める必要はありません。

 いま、お母さんやご家族にお願いしたいのは、可能な限りお子さんの面会をしていただくことや、搾母乳を冷凍してNICUに届けていただくこと、不安なときはNICUスタッフに率直にお話ししていただくことです。自分が子どものために何もできていないと悲観する必要はありません。多少時間はかかると思いますが、面会し、お子さんに触れたり、母乳を運んだり、表情を見たりすることで、徐々に母親としての自信が得られるようになります。そのためには、NICUのスタッフはできる限りの支援をしてくれるはずです。