赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 肝機能の数値が悪い9か月の娘。 (2022.6)

  • (妊娠週数・月齢)9か月

現在9か月の娘がいます。黄疸が強かったため生後2か月ころに肝機能検査をしました。そのときは肝機能の数値が若干悪かったのですが、原因がわからず、経過観察をすることに。正常値になっていることを願って、生後半年のときに再検査をしたのですが、やはり正常値ではありませんでした。現在、総ビリルビン0.7、直接ビリルビン0.2、LD315、AST73、ALT66、ガンマGTP19です。体重は8,500グラム、身長は72センチと成長過程は問題なく、離乳食もよく食べています。肝機能が悪いというのは、どういうことなのでしょうか? また、どういった原因が考えられるのでしょうか? このまま様子を見ているだけで大丈夫なのでしょうか?
かぜなどをひいた際、薬を服用させても大丈夫なのか心配です。普段の生活で気をつけるべきことについても教えてください。

回答者: 板橋家頭夫先生

 お子さんの成長や発達は順調に経過していると考えられます。通常、新生児や乳児では、成人に比べてASTやALTの値はやや高い傾向にあります。お子さんのデータを見るとこの月齢の上限をわずかに超えている値だと思われます。しかしながら、ビリルビン値やガンマGTP値に問題はありません。一般に検査値の正常範囲の設定は、健康な人の95%が示す値から導き出されます。しかし、わずかな人たちですが健康にもかかわらずこれを超えることがあります。

 結論から先に言えば、このまま経過を見ていくことが最善でしょう。もちろんご心配でしょうから、1歳あたりで再度検査を行い、低下傾向にあるかどうかを確認することをお勧めします。ASTやALT値の上昇、あるいはその他の検査値や黄疸などの異常があれば、専門施設で精査することが必要になります。ただ、お子さんのデータからして、異常と判定できる根拠は乏しいように思います。

 また、現時点では通常の薬物の服用は可能だと思いますが、他院での処方の際には、念のため現在の状況を医師に説明しておいたほうがよいかもしれません。

 新生児期・乳児期に肝機能検査でASTやALT値が異常高値となる代表的な病気は、新生児(乳児)肝炎ですが、黄疸や直接ビリルビンの上昇がないことから否定的と思われます。ご質問にはお母さんの妊娠中の感染症検査について記載されていないのですが、トキソプラズマやサイトメガロウイルス、風しんウイルスなどの抗体の上昇がない、あるいは関連する兆候(低出生体重児、発育不良、発達の遅れ、小頭症、肝臓腫大、難聴など)がないのであれば、これらによる子宮内感染も否定的でしょう。その他、先天性の代謝異常、心臓疾患なども否定はできませんが、これまでの経過からはおそらく心配はいらないと思います。