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病気・予防接種

Q. 2か月半の子。音に反応せず聞こえているのかが心配。 (2022.7)

  • (妊娠週数・月齢)2か月

生後2か月半になりましたが、声かけにまったく反応せず、音の鳴るおもちゃにも反応しません。首はよく動かしますが、音が出る方を見ることもありません。新生児のころから、突然の大きな音にびっくりすることもありませんでした。泣いているときに、耳元でビニールのカシャカシャ音を聴かせたら、たまたまなのか泣き止むような気がします。産後の聴覚スクリーニング検査はパスしたのですが、聴こえているのか心配です。

回答者: 横田俊一郎先生

 先天性の難聴は出生1,000人に1~2人と言われていて、かなり発生頻度の高い病気の一つです。早くから正しい療育をすることによってその後の生活が改善されることから、できるだけ早い時期に発見することが必要と考えられるようになり、新生児期の聴覚スクリーニング検査が行われています。現在では95%以上の新生児が検査を受けていて、費用を公費助成する自治体が増えてきています。自動耳音響放射(自動OAE)と自動聴性脳幹反応(自動ABR)という2種類の検査方法があり、自動OAEは鼓膜のすぐ奥の内耳を検査するものなので、内耳は正常でもその先(脳幹を通って脳に音が達する経路)に音が伝わりにくいタイプの難聴を検出できないという特徴があります。自動ABRはほとんど見逃しがないとされていますが、検査後に髄膜炎などの病気があって難聴が新たに生じるという可能性は否定できません。ですので、産後の聴覚スクリーニング検査をパスしていても、それを理由にいま難聴がないとは言い切れないことは大事なところです。

 一方、赤ちゃんの耳が聴こえているかどうかは、実際にはわかりにくいことも少なくありません。生後3か月くらいまでは、大きな音に対する反応を見て聴力に問題がないかどうかを判断します。たとえばドアがバタンと大きな音で閉まったときに、赤ちゃんが両手を広げて驚いたようなしぐさをする(モロー反射)、哺乳中に大きな音を聴くと飲む動作を一時中止するなどです。話しかけると、アーとかウーと声を出して喜ぶのも、きちんと聴こえている証拠の一つです。ただし、雑音が多い場合ははっきりわからないこともありますし、かなり大きな音でないと反応が見られないという問題点もあるので、日常の生活ではしっかり聴こえていると実感しにくいこともあります。

 生後4か月を過ぎると、音のする方向へはっきりと顔を向けて探そうとするしぐさが見られるようになります。たとえばおもちゃを打ち鳴らす音、紙をまるめてクシャクシャさせた音、親指と人差指で指をこすったときに出る音などを聴くと、そちらを見ようとします。このように3〜4か月になると判断がしやすくなるので、そこまで待ってやはりおかしいと思うときには、耳鼻咽喉科の先生に相談することが必要です。

 難聴の原因はわからないことも多いのですが、難聴を起こしやすい赤ちゃんというのが知られています。たとえば、非常に小さい体重で生まれた赤ちゃん、出産時に重症の仮死がありすぐに元気に泣けなかった赤ちゃん、交換輸血が必要なくらい重い黄疸があった赤ちゃん、子宮内での風しんやトキソプラズマなどの感染症があった赤ちゃん、家系に先天性難聴の人がいる赤ちゃんなどがこれにあたります。このような危険因子を持った赤ちゃんは、よりていねいに見守っていくことが必要とされています。