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病気・予防接種

Q. 6か月の息子。鼠径ヘルニアかもしれないと言われました。 (2023.1)

  • (妊娠週数・月齢)6か月

6か月の男の子です。大泣きしているときにおむつ替えをしていて、ももの付け根がポコンと膨らんでいるのに気づきました。6か月健診でその話をしたところ「鼠径ヘルニアかもしれないので、早めに大きな病院を受診するように」と言われました。実母に話したら「ああ、脱腸ね」と言われ、私の弟がそれで手術をしたことを教えてくれました。そんなに大変な手術ではないとも言われましたが、手術しないで治ることはないのでしょうか? 受診したらすぐ手術になるのでしょうか? 手術となると、全身麻酔をかけたりするのがとても心配です。

回答者: 板橋家頭夫先生

 お子さんの症状からまず疑われるのは鼠径ヘルニアだと思います。乳幼児期にしばしば見られ、多くの場合、腸管が腹腔から通り道を経て鼠径部皮下に出てしまう状態となります。泣いて腹圧がかかると鼠径部の皮下に飛び出し、静かにしていると蝕知しない(腹腔内に戻る)ことが多いと思います。

 鼠径ヘルニアで問題となるのが嵌頓(かんとん)で、皮下に出た臓器(主に腸管)が元の位置に戻らず、時に脱出した腸管が血行障害を起こすことがあります。一方で、乳児期の鼠径ヘルニアは自然に改善することがあるため、手術をしないで自然消失を待つか、あるいは積極的に手術をするか、悩ましいところです。

 日本小児外科学会のホームページ(http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/sokei-helnia)には、「1歳未満の鼠径ヘルニアは自然に治ることもあるといわれていますが、自然に治ることを過度に期待して手術時期を遅らすことはよくありません。原則として、嵌頓傾向のないお子さんの場合、施設により異なりますが生後4~12か月以降に予定手術としますが、少しでも戻りにくい場合は早期に手術しても問題はありません」とあります。これを参考にされてはいかがでしょうか。手術を行うとなればこの年齢では全身麻酔が原則です。手術にしろ、全身麻酔にしろ、絶対に安心とは言い切れませんが、小児外科医が常駐しており、手術例が多い施設であれば安心だと思います。まず、小児外科医が対応してくれる施設を受診し、しっかりとお話をしたうえで、どういう方針を選択するかを病院スタッフとともに考えてみてはいかがでしょうか。