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病気・予防接種

Q. 生後2か月半の子。下痢に近いうんちを頻繁にするようになりました。 (2023.7)

  • (妊娠週数・月齢)2か月

生後2か月半の子を混合栄養で育てています。いままでうんちの回数は1日2回、多くても4回だったのですが、突然1日8回以上のうんちをするようになりました。粘り気はありますが、下痢に近い状態でおむつにうんちが染み込んでいるときもあります。量はそんなに多くなく、授乳のたびに少量排便したり、おならと一緒に出てきたりします。小児科で整腸剤をもらい、まだ飲み始めて2日ですが、うんちの状態も回数も減りません。機嫌はよく、おしっこも出ています。食欲もあり、母乳を片乳各5分ずつ吸ってからミルクを40mLくらい飲みます。ミルクについては飲みむらが激しく、そのときによって量はまちまちです。1日に何度もうんちをするようになった日の3日前に、初めての予防接種(ヒブ、ロタウイルス、B型肝炎)をしました。うんちの状態が変わったのは、予防接種の影響なのでしょうか? また、乳糖不耐症の可能性はあるでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 小児科の外来では、便の異常を心配して来院するお母さんがたくさんいます。おむつの中の便は毎日必ず目にしますので、その変化が気になるのは仕方ありません。第二次世界大戦後間もないころ、疫痢という怖いおなかの病気があって、たくさんの赤ちゃんが亡くなりました。この時代のイメージがまだ受け継がれているのかもしれません。しかし最近では、命にかかわるようなおなかの病気をみることはほとんどありません。衛生状態が進歩して、細菌による胃腸炎はとても少なくなりましたし、赤ちゃんの体力が向上したことと点滴の技術がよくなったことで、重症の脱水になることもほとんどなくなりました。

 赤ちゃんの下痢が心配になったときにまず確認することは、赤ちゃんが元気か、きちんと飲んでいるか、体重が順調に増えているか、という点です。赤ちゃんの便は千差万別です。回数や色も変化しますし、形やゆるさにも変化があります。毎日同じ母乳やミルクを飲んでいるのに・・・と思いますが、お母さんの食事や赤ちゃんの体調などによっても便は微妙に変化するようです。

 全身状態がよくない、体重が増えないというときにはもちろん病気も考えなくてはなりません。比較的問題となるのは食物アレルギーで、ミルクアレルギーは考えてみなくてはならない病気の一つです。また、先天的な腸の粘膜の異常などで重症な下痢を起こす病気も知られていますが、いずれも極めてまれなもので出生直後から症状が出ることが多いです。

 乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素であるラクターゼの低下で起こる病気です。先天的な乳糖不耐症はまれな病気で、出生直後から授乳後に激しい下痢が見られる病気です。日常の小児科で見る乳糖不耐症は、急性腸炎のあとに起こる二次的なもので、時間がたてば元に戻ります。一過性ですが、下痢がひどいときに乳糖を抜いた特殊ミルクに変えると症状は改善します。

 予防接種との関係ですが、ヒブ、B型肝炎は注射するワクチンで、副反応として下痢が起こることはありません。ロタウイルスワクチンについては、添付文書に海外の報告で1〜10%未満で下痢がみられることがあると書かれていますが、実際の経験からは服用後に下痢がみられることは多くなく、それが長引くということもほとんどないように感じています。

 ご相談の赤ちゃんは元気で全身状態もよさそうなので、病的な下痢ではなさそうに感じます。体重の変化をみながら、もう少しようすを見てよいのではないかと思います。うんちばかり気にしていると、うんちを育てているような感じになってしまいがちです。赤ちゃんをよく観察して焦らずに経過をみてほしいと思います。