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病気・予防接種

Q. 生後3か月の娘。体温が低めになり、心配です。 (2023.10)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月の娘と私が新型コロナウイルス感染症にかかりました。娘は1日だけ39度の発熱がありましたが、翌日には37度まで下がりました。平熱は36.9~37.1度なのですが、今日はなぜか36.0度と低く、大丈夫だろうかと心配です。おなかや背中も冷たいとまではいきませんが温かくはないですし、終始眠っています。私はカロナール500mgを3回内服していました。それが授乳を通して娘の身体に摂取されてしまい、それで体温が下がってしまっているのではないかと不安です。これは低体温というものなのでしょうか? 子どもの体温が低いと何かリスクがありますか? また、受診の目安も教えてください。

回答者: 横田俊一郎先生

 低体温とは一般的には36.5度以下のことを指していますが、低体温を病気として考えるのは36度未満のときが多いようです。

 体の中心部の体温を深部体温と呼び、健康な状態ではほぼ一定に保たれています。しかし、普通の測定法では深部体温を測定することはできないので、日常の生活では、皮膚に伝わってくる温度(皮膚温)を用いて「体温」としています。体温は体温中枢、自律神経、外部環境などによって調節されています。感染症で体温が上昇するのは、感染によって発熱物質が体内に作られ、それが発熱中枢に働きかけて設定温度を上げるからです。逆に解熱剤を使うと、薬が体温中枢に働いて設定温度を下げ、体温が下がるわけです。

 深部体温そのものが下がってしまう本当の低体温は、高度の寒冷にさらされたとき、敗血症やショック、脳血管障害や外傷などによる脳視床下部の機能低下、内分泌の病気や低栄養など、きわめて重篤な状態でしか起こりません。20~30年前から子どもの低体温(平熱の低下)が問題とされてきていますが、はっきりとした原因はわかっていないものの、熱の産生量の低下や生活の乱れによる体温リズムの変化が一つの要因と考えられています。自律神経の働きも体温調節には大きく関わっています。

 ご相談のお子さんは3か月児で、終始眠っていると言っても全身状態に大きな変化はなさそうですので、病的な低体温とは考えにくいと思います。病気の回復期で、熱が下がるときに一瞬体温が低くなることはときどき経験します。例えば突発性発疹で高熱が3日続き、急に下がるときなどは体温が36度くらいまで下がって、体が冷たく感じられることがあります。ご相談のお子さんもおそらくすぐに体温が元に戻ったのではないかと想像されます。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のあとで体調が悪くなり、後遺症として自律神経の働きが悪くなったり低体温になったりすることが、成人では報告されているようです。乳幼児のCOVID-19の後遺症は判断しにくいものの成人と比較して非常に少ないとされていて、3か月の乳児がCOVID-19の後遺症として低体温になったとも考えにくいと思います。

 お母さんの服用した解熱剤(アセトアミノフェン)が、母乳中に出て赤ちゃんの体温を下げる可能性はまずないと考えてよいと思います。アセトアミノフェンは授乳で安全であることが示されていますし(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/)、母乳中に大量のアセトアミノフェンが出るとも考えられません。また、アセトアミノフェンは発熱を改善する作用はありますが、平熱を下げる働きはほぼありません。解熱剤は鎮痛解熱剤と呼ばれるように鎮痛剤でもあります。アセトアミノフェンも頭痛薬としてよく使われますが、誰も低体温になるのを心配しないことからも理解していただけると思います。

 以上から、心配のない低体温と思われますが、36度未満が続くようなときにはかかりつけ医に相談することをお勧めします。