赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 1歳2か月の子。咳がなかなか治りません。 (2023.11)

  • (妊娠週数・月齢)1歳2か月

 1歳2か月の子が5週間前からかぜをひいています。かぜをひいてすぐ受診した際には、症状がひどかったため、飲み薬と背中に貼るテープを5日分出してもらい、「症状がひどくなるようだったらまた来てください」と言われました。ひどくなることはなかったので、薬を5日間で飲み終わったら、そのまま病院には行かずに過ごしました。そのときは、かぜの症状はましにはなったのですが、その後もまだ咳が続いていたので、3週間前に再び病院を受診して薬を出してもらいました。その後も何回か病院を受診しているのですが、いまだに治りません。朝方や夜などに、痰がからんだような咳を少しします。いま、薬を飲んでいませんが、病院に行って薬を出してもらった方がよいのでしょうか?

回答者: 横田俊一郎先生

 5週間も咳が続いているのは確かに心配ですね。でも、小児科ではよくある相談です。原因を考えるうえで、まずはご相談のお子さんの周囲の状況がどうなっているかがとても重要です。
 もし保育園に通っているお子さんであれば、一つの病気ではなく、次々とかぜにかかっている可能性をまず考えます。とくに入園したてのころは初めて出会う感染症ばかりなので、繰り返しかぜをひいて咳が長引いているというのはよくあることです。
 集団生活の場がないときには、家族のことを考えてみます。ご両親にかぜ症状がないか、きょうだいがいればきょうだいに咳やその他のかぜ症状がないかがとても重要です。有名なRSウイルス感染症は、年長児や成人では普通の鼻かぜの症状だけということも少なくありません。また、最近ではほとんどありませんが、同居のご老人に咳が続いているというときには、結核も考えてみる必要があります。

 このように周囲に咳の出る病気がないことを確かめたうえで、長引く咳の原因を考えてみることになります。長引く咳の原因で最も多いのは、鼻水が続いて喉に回り、それが刺激なって咳が出ているという状況です。鼻の外に出る鼻水と同じ量かそれ以上は喉に回っていると言われます。普通は飲み込んでしまうので咳は出ないのですが、粘稠(粘り気がある状態)だと喉に絡まって咳となりますし、寝ているときにはより喉に溜まりやすくなって咳の原因となります。子どもの副鼻腔は、大人と違って鼻腔とほぼ一体になっているので、鼻水の量も多く長期間続くことが珍しくありません。治療としては鼻水を吸引することが一番ですが、あまりに長期化して症状が強いときには抗菌薬を使うこともあります。このようなときには中耳炎や目やにを伴っていることも多いものです。また、アレルギー性鼻炎が関係していることもありますので、小児科で改善しないときには、耳鼻咽喉科を受診してみることも一つの方法です。
 他の感染症としては、RSウイルス感染症やヒトメタニューモウイルス感染症、マイコプラズマ感染症、百日咳なども咳が長引きますが、高熱が出たりひどい咳が続いたりすることが大部分なので、ご相談のお子さんの症状には合わないように思います。
 もう一つ考えておかなくてはならないのが喘息です。一般的には喘息発作で咳が出るときには、ゼイゼイ、ヒューヒューという音が聞かれるものですが、時に咳だけが続くこともあります。家族に喘息の人がいるかどうかも手がかりになります。ただ、この年齢では咳だけの喘息は多いものではありません。

 咳が長引くときに受診して原因を調べてもらうことは大切ですが、咳止めの薬は対症療法であって、それで咳の原因を治すものではありませんので、必ずしも必要ではありません。背中に貼るテープは気管支を広げる薬で、本来は喘息に使用するものです。気管支炎でも気管支を広げると痰が出やすくなるということで使われますが、咳止めではないことは知っておいてください。かぜに特効薬はありませんから、日常の生活に困ることがないのであれば、しばらくは薬なしで普通に生活するだけでよいと思います。ただし、咳で眠れないときや食事がとれないとき、3週間以上咳が続くときには、一度は受診することをお勧めしておきます。