赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム連載・読み物子どものこころを育てる

子どものこころを育てる 10

厳しくしすぎたのか、顔色をうかがう子になって…。
今度はほめてあげたいと思いますが…。

「悪いことしちゃった」と感じたら、
次はやらないようにこころがけて

 「ついたたいてしまった」「頭にきてどなってしまった」などということはよくあります。初めての子育てなら、そうなるのも無理はありません。
 そうしたからといって、そんなに自分を責めないでください。「子育てに失敗してしまいました」と自分の落ち度のようにわが身を責めるお母さんも少なくないのですが、だいじょうぶです。子育ては気づいたところから、また新たにはじめていけばいいのです。
 たとえば乳幼児期の愛着要求も、その形成に失敗したから、つまり、人への信頼感や愛情がうまく育まれなかったからといって、生涯人とうまくつきあえなくなる、自立できなくなるということは、決してありません。まずいと気づいたときに変えていけば間にあいます。人間の発達はしなやかで、変わっていく可能性を持つものだからです。

どういう子どもが
あなたの理想か考えて

 あなたは、子どもがどういう子になってほしいと考えますか?子どもがその子なりに生き生きと、幸せを感じることが第一ではないでしょうか。子どもが「やった!」という気持ちをのびのび体験できることを大切にしてあげたいな、と思います。同時に、「悲しい」「つらい」といった気持ちを周囲に遠慮なく伝えられることも大事でしょう。
 何かがじょうずにできた、といった結果だけで子どもの能力を判断するのは、避けたいと思います。結果だけでよい子かどうかを決められてしまうと、子どもはのびのび行動することができなくなってしまいますから。失敗しないようにと新しいことにいどむ気持ちをなくしてしまいます。

評価は避けて!
子どもの気持ちに共感した言葉をかけてみましょう

 では、ただほめればいいかというと、そうでもないのです。「ほめ方」にもコツがあるのです。
 アメリカの臨床心理学者のジノットは、「いい子ね」というほめ言葉は避けるべきだと言います。それよりも「お留守番してくれて助かったわ」と言ってあげるほうが、不安な気持ちで留守番をして、それが終わってほっとしている子どもの気持ちにぴったりすると言うのです。
 確かに「いい子ね」という言葉は漠然としているし、子どもにしてみれば、どういう子であることが期待されているのか、よくわからないでしょう。できたかできなかったかという結果の評価ではなく、そこに至る子どもの努力や結果についての子どもの気持ちをそのまま受け止めてあげるほうが、子どもにはうれしいことなのです。もし子どもが「留守番できたよ!」と誇らしげに言うなら「そうだね! すごいね!」と子どもの気持ちに共感したままを言葉にすればよいのです。「淋しかった」と泣き出したなら、泣く子を抱いて「淋しかったんだね」と受け止めてあげればいいと思います。
 考えてみればおとなもそうです。大変な仕事や作業を終えたあと、「よくできたね」「すごいね」だけでは何だか気持ちも不満足。「さぞ大変だったでしょう」のひと言でむしろほっとするのでは、ありませんか? 子どもにとっても、大切なのは「自分にとって大事な人が気持ちをわかってくれた」ということです。
 失敗したときは「前もそうだったでしょ!」なんて以前の失敗をあげつらわないでください。また「ダメな子!」などと全否定しないでください。どこが悪かったかは、たいてい子どもは気づいているものです。いっしょに失敗のあとしまつをすることで、子どももほっとするのです。

ただほめるのではなく、
どこがよいかを
具体的に伝えましょう。

←前のページへ 10/16 →次ページへ