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子どものこころを育てる 11

「父親の育児」参加が期待されています。
でも父親の役割って、いったい何でしょう?

父親の役割にとらわれず、自分らしく楽しく子育てをしてみては?

 これまで母親はやさしく、父親はたくましく、などと言われてきました。思いやりややさしさ、情緒を伝えるのは母親、厳しさや理念、社会のルールを教えるのは父親だと考えられてきました。「立派な父親になれ」とはっぱをかける人も少なくありません。
 けれども、女、男、といった性別の枠に自分をはめ込んで生きるのは、どんなものでしょう。 たとえば「男らしさ」「女らしさ」とはどのようなものかを、形容詞で表現してもらった調査があります。それによると、男らしさとしては「冒険好き」「攻撃的」「意志が強い」「理性的な」などがあげられました。女らしさをあらわす言葉としては「美しい」「おしゃれな」「行儀のよい」「やさしい」などがあります。
 しかし、理性的であることや、意志の強さは、これからの時代を生きていく女性にとって重要です。 また、やさしさは男女の別なく人に欠かせないものです。そこで、両方の性質を兼ね備えた「人間らしく」が、現在は問われています。
 また、「父親の役割はこう」「母親の役割はこう」と決めつける必要もないと考えられるようになってきました。女性が子どもを産むからといって、「母性」だけを強調するのではなく、親が子どもを育てるという「育児性」という考え方が提案されています。
 ふだんの暮らしの中で、その人らしい子育てができれば、それで十分ではないでしょうか。

子育てはお母さんしかできない?
いいえ、お父さんはとても有能です

 お父さんたちにはもっともっと、積極的に子育てをしてほしい、子どもにかかわってほしいと思います。
 子育てをお母さんだけでするのは大変です。昔から人は母親だけではなく、多くの人の手で育てられてきたのです。地域の人や祖父母の手を借りながらが、ふつうだったのです。
 しかし現在は地域社会とのつながりも薄くなり、核家族化も進み母親は孤立しがちです。子育てという初めての経験で不安や戸惑いがいっぱいなのに、誰も助けてくれない……。一番身近にいる夫がてをかすのは当然のことです。
 男性だからといって、子育てが難しいわけではありません。確かに赤ちゃんは手がかかりますが、子育てはきわめてふつうに、誰にでもできる営みです。
 実際、お母さん以上に赤ちゃんのおむつを替えるのがじょうずなお父さん、愛着要求の相手として選ばれるお父さんはたくさんいます。男性にできないのは、産むこととおっぱいをあげることくらいです。
 いまのように父親が仕事に追われ、子育てや家のことにほとんどかかわらないのはむしろ不自然なことです。子どもに家族の絵を描かせても、そこには「大事な人」としてお父さんがいない、ということになってしまいます。
 子どもにとっては大切な人の中に早い時期から父親が入っていることが重要です。そのためには、とりあえずお風呂でもおむつ替えでも、遊びでも、やってみることが大事。やってみれば、子育てがとても楽しく、豊かな営みだということも実感できるはずです。

育児は男女に関係なく、誰にでもできる営み。
難しく考えすぎないで、お風呂やおむつ替えなど、
毎日のことからはじめてみてはいかが?

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