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子どものこころを育てる 14

どうしても、子育てが楽しいとは思えません。
「うとましい」という気持ちのほうが強いのです。

24時間の母親業
助けもなく、ひとりでかかえる子育てなら
楽しくないのも無理ありません

 こうした悩みは、いま少なくないように感じます。もちろん子どもは愛しい、でも24時間いつもいつもそうは感じられない。子どもといる時間がつらいものに思えたり、子どもの存在がひどくうとましいものに思えたり……。
 でも、それも無理はないでしょう。現在は、お母さんに必要な支えがあまり得られないからです。核家族が増え、家庭で子育てをしている場合には、どうしても母子だけで過ごす時間が多くなりがちです。そのため、お母さんが子育ての全責任を負ってしまうような気持ちになっているわけです。
 「夫の転勤で引っ越してきたばかり。まわりに知り合いはひとりもいません」というお母さんも少なくありません。あるいは出産してから人に会うこともなくなって…という人もいるでしょう。 いざ公園に遊びに行こうと思っても、「公園デビュー」などの言葉に象徴されるように、何だかややこしく、かえってストレスになりそうな人間関係が報告されています。
 また、子どもが生まれる前には仕事をしたり、ショッピングや海外旅行なども楽しんでいたのに、子どもが生まれたとたん、自由が制限されたという思いがするでしょう。日々の子育てに追われて好きなことをする時間はおろか、自分の時間がまったくないといった状態では、ストレスがたまってあたりまえです。気持ちがそんなふうにキリキリしていれば、特に「やりたいことがひとつもできない」という気持ちを抱えていれば、目の前のわが子に笑顔で接したり、かわいいと思うゆとりを失うのも、また当然でしょう。

勇気を出して、
あなたのほしいサポートを得ましょう

 解決策のひとつは、家にこもりきり、いわゆる「密室育児」をできるだけ避けることです。愛着要求のところでも述べたように、人には「人と交わりたい」「親密になりたい」という気持ちがあるはずです。
 公園が苦手なら、公民館や児童館などで開かれているお母さん向け講座に参加するなどの方法もありますし、昔の友人たちと電話や電子メールでおつきあいを復活する、などの方法もあります。
 とにかく自分が「ひとりぼっち」にならないように勇気を出して、人と交わってみることが大切です。もちろん、パートナーである夫に「助けて」「つらい」と訴え、あなたがほしいと思うサポートを得ることも重要です。

自分を好きになることから始めてみたい

 また、お母さんにとって大事なことは、自分を大切にするということです。というのも、「子育てがつらい」「子どもが愛せない」と訴えるお母さんの中には、そもそも自分を好きではない人が少なからずいるからです。
 実際、「自分のことが嫌い。嫌いなところばかり似たわが子をとても愛せない」と訴えるお母さんもいます。自分が「NO」だから、それに似た赤ちゃんも「NO」と言うしかない存在になってしまっているのです。自分を愛するというのは、自分の存在や自分のあり方に「OK!」と言うこと。そうであれば、赤ちゃんはもちろん、他の人にもゆとりを持って「OK!」と言えるのですが、それができなくなっていうわけです。自分を愛し、受容できないときは、他の人も受容できなくなってしまうのです。
 その背景に夫との気持ちのズレや子育ての負担感などがあるなら、まずそれを夫に話し、受け入れてもらう必要があるでしょう。あなたの存在を認め、愛し、受け入れてくれるのは、なにより夫のはずですから……。

ひとりでつらい気持ちをかかえ込まないで!
「つらい」「助けて」と声にだすことが大事。
夫に話し、理解を得てみましょう。

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