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子どものこころを育てる 15

結局のところ、日々の育児は母親である私の役目。
ときどき責任感で、押しつぶされそうになります。

この苦しさやつらい状況をパッと変える魔法はある?

 赤ちゃん時代の育て方が将来を決めるわけではない、子育ては十分取り返しがつくし、まして子育ての責任はお母さんだけがになうものではない、現実にお父さんも子育てについては有能……。
 でも、実際にはお母さんに子育ての負担と責任がのしかかっていることが多いでしょう。なかなか変えられないのが、この現状かもしれません。女性だから、産んだからといってすぐ母親になれるわけではないし、まして産む性イコール育てる性でもない。これも科学的な事実としてすでに証明されているのに、相変わらず多くの人は「子育てはやっぱり母親がメインでになうべき」と考えているのです。
 「男性も女性も個性を生かして子育てをすればよい」と言う人も増えましたが、結局そこでの「個性」が、「女はやさしく・男は厳しく」、あるいは「おむつ替え担当はお母さん・遊び担当はお父さん」だったりもしますし……。
 この状況をパッと変える魔法は、あるのでしょうか? 残念ながら、ありません。やはりこのあり方を不満に思ったり、変だと感じる人がひとりでも増えて、その一人ひとりが勇気を持って変えていくしかないのです。

お母さんたちはもっと自分のことを考えてみては……

 お母さんとなった女性たちに対しての提案は、自分がこれだと思う生き方をないがしろにされたときは、はねのける強さを持とう、ということです。そんなふうに自分で自分を変えていくこと、これはまさしく母親としての「生涯発達」です。
 長い間女性は、女だから、お母さんだから、妻だから、主婦だから、というような枠にとらえられてきましたが、いつの間にか自分で自分をその枠に閉じ込めてしまうということにもなっています。おそらく、そこが多くのお母さんの感じている自己不全感、不満感の源ではないかと思います。
 また、女性は自分を主張してはいけない、主張するとめんどうなことになる、などの思いから、いつの間にか「それが自分の生き方」とこころの中ですりかえてしまってはいないでしょうか。
 そんな自分の内面をみつめ、感情に気づき、自分を大切にすることが必要です。「子育ては私の責任」などと気負いすぎず、もっと自分のことを考えてもよいのです。そんなふうに自分を大切にできるお母さんこそ、子どもの自立への旅立ちを心から望むことができ、また勇気を持って励ますことができるのだと言えます。

お父さんは企業の論理から距離を置いて
家庭人、生活人に

 お父さんたちへの提案は、やはり「もっと子育てをしよう!」です。私たちは資本主義経済のもとで、できるだけ利益を追求するという企業の論理の中で生きています。けれど、ひとりの人間である父親が、こうした企業の論理の枠にはまって生きていかなければいけないかというと、そうではないはずです。
 現実に父親の育児参加は、企業の論理を優先している限りは無理でしょう。自分自身がその論理から距離を置き、仕事人としてだけではなく、家庭人として、生活人として生きられるように努力しなければなりません。
 仕事はできるけれど料理はできない、洗濯機の回し方も知らない、身の回りのいっさいは妻まかせでは、長い人生を本当の意味で楽しむことは難しくなります。
 幸いなことに、子どもを大切にしよう、人が自分らしく生きるのはよいことだという時代のうねりも大きくなっています。実行しようとすればそれが可能な時代です。希望と勇気を持って、踏み出すこと、それがいま、一人ひとりに求められているのではないでしょうか。

それぞれの人が自分を大事に、
花開くことが大切です。
気づいた人から一歩を踏み出してみて!

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