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性格・親のかかわり・育て方

Q. 1歳半の息子は思い通りにならないとものを投げます。叱り方を教えてください。 (2012.7)

  • (妊娠週数・月齢)1歳6か月

1歳6か月の息子です。自分の思い通りにならないとき、怒ってものを投げる癖があります。言葉はまだ単語が10種類くらいで「イヤ」とは言えません。「あーっ!」と大きく叫び、手に持っているものやテーブルの上にあるものを1〜2個力いっぱい投げます。こういうときは、まるで怒りのスイッチが入ったかのように見えます。投げようとするものを押さえて取り合いになることもあります。わずか1歳6か月で怒りをこれほどまでに表す息子は正常なのか心配です。これまでの育児の反省点として、無理やり食べさせ泣かせてしまったこと、ごはんを拒否して払いのけ床に全部こぼされたときにきつく叱ってしまったことがあげられます。こういったことも影響しているのでしょうか?その都度、投げてはいけないことを伝えているのですが変わりません。この年齢の子に対する正しい叱り方、接し方を教えてください。

回答者: 汐見稔幸先生

 はじめに結論を言いますと、きわめて正常な育ちをしているお子さんです。

 小さい子どもでも、「あれがしたい」「これはいや」という感情はきちんともっています。これはよく知っていただきたいことですが、幼い子どもも、われわれ大人も、基本的な感情は同じものがあります。とくに、怖い、いやだ、うれしい、悲しい、つらい、楽しい、等の基本的な感情を「情動」といいますが、これは赤ちゃんでも大人でも同じように感じます。

 大人はその感情と理性的な判断とが結びつきやすいので、がまんするとか、かわりを探すとかができるのですが、小さい子どもはそうした理性がまだ十分育っていませんので、感情を収めるために、泣いたり、身体運動をしたりして、何とかするしかありません。

 とくに、感情生活の活発な子は、自分がしたいと思ったことができなかったり、したくないのにしなければいけないことが出てきたりすると、すぐにそのときの「おもしろくない!」という気持ちを表現しようとします。それが、泣く、ものを投げる、などになるのです。

 1歳半ころにはものを投げる力が少し育ってきますから、おもしろくないときは、何でも投げてその感情を表現しようとします。人間は、あることができるようになると、その能力を何にでも使ってみたくなる動物なのですが、赤ちゃんのときは、全体としての力が未成熟なので、余計に、ひとつのことができるようになるとその力を使いたくなるのです。投げることができるようになると、何でも投げようとする、というのがこの時期の特徴です。とりわけ男の子には、こういう行動傾向が強いようです。

 ですから、思い通りにならないと、その怒りの感情をものを投げることで示そうとする息子さんの行動は、きわめて普通でまっとうな、わかりやすい行動といえます。異常でも何でもありませんし、お母さんの育て方に問題があったからでもありません。ただ、何でも投げると親としても困ることがあるでしょうから、少しずつ改めさせていくことは課題でしょう。

 その際、子どもが怒っているわけですから、「○○が欲しかったの?」「△△しようか?」等々、子どもの気持ちをていねいに探ってあげてください。それで気持ちが収まってくれば、「なるべく投げないでね」と言って理解を求めます。こういうことを繰り返していけば、次第にものを投げるという形で怒りを表現することは減っていく可能性があります。でも半年くらいはかかることは覚悟してください。

 この年齢の子に「正しい叱り方」をというご質問ですが、この年齢の子には悪気は一切ありませんので、叱っても仕方ないのです。きつく叱り続けると、次第に自分は親に愛されてないのではないかと感じることが増えてきますから、心の深いところでの他者への信頼感が育ちにくくなります。これは自我形成上の問題になり、自信のない、あるいは他者への攻撃性を隠した大人になる可能性が強くなります。

 ですから、この年齢では子どもに「○○したかったの?」と、その子の気持ちを探る会話をていねいに続けることが肝要になります。少々ものを投げるのはこの子の個性と思って、問題にしないようにしてください。

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