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発育・発達

Q. 5歳の女の子。低身長ですがホルモン補充療法を受けたほうがいいですか。 (2012.7)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

5歳になったばかりの女の子です。身長95cmと小さく、体重は16kgです。出生時は異常がなく、1年前に検査をしたところ染色体とホルモン分泌にも異常がありませんでした。身長は1年間に7cm弱伸びましたが、成長曲線からはずれたままです。このような場合でもホルモン補充療法はできるのでしょうか?また、そうした治療を受けたほうがいいでしょうか。

回答者: 多田裕先生

 乳幼児期に身長が伸びない「低身長」は、主に以下のような原因で起こります。

 1.甲状腺ホルモンや成長ホルモンなどが不足したり、副腎皮質ホルモンが過剰になるなどの内分泌系疾患があるとき
 2.心臓病や腎臓病など慢性疾患があるとき
 3.染色体や遺伝子の異常による疾患があるとき
 4.とくに身体的な疾患や異常はなく、もともと小柄な体質のとき
 このほか、栄養状態が悪かったり虐待を受けているなど成育環境に問題がある場合も子どもの身長は思うように伸びません。

 ご相談のお子さんは「出生時には異常がなく、検査をしたが染色体とホルモン分泌にも異常がなかった」とあることから、前述の1と3を除外できます。心臓や腎臓に慢性疾患があると書かれていないことから、2も除外できると考えます。また、栄養状態が悪いとか虐待を受けているなど成育環境に問題があるとも考えられません。こうしたことからおそらく、4の体質的にもともと小柄なお子さんではないかと思います。
 
 ご質問にある「ホルモン補充療法」とは、成長ホルモンを注射で補う治療を指しておられるのだと思います。この治療法は、脳下垂体から分泌される成長ホルモンが不足する内分泌疾患や、成長ホルモンは正常に分泌しているが慢性疾患や染色体異常によって身長が伸びない場合に用いられる治療法で、「プラダー・ウィリー症候群」「軟骨無形成症」「ターナー症候群」「慢性腎疾患」などいくつかの疾患に保険適用が認められています。

 さらに、「SGA性低身長」といって染色体異常や慢性疾患などがなく成長ホルモンも正常に分泌しているが、生まれつきからだが小さくて3歳ころになっても身長が正常範囲に届かない場合に適用されることがあります。

 ご相談のお子さんで可能性があると考えられるのはSGA性低身長ですが、出生時にSGAでないと適用になりません。ご相談のお子さんの場合は、1年間に約7cm身長が伸びていることや現在の身長の値から小さいながらも発育曲線に沿って成長している印象があります。こうしたお子さんのなかには、思春期になって身長が急激に伸びるお子さんも多くいます。

 しかし、ご心配が続くようなら内分泌疾患に詳しい専門の医師に経過観察をしてもらい、ホルモン補充療法の適用があると判断された場合には、積極的に治療を受けるのもよいでしょう。この治療は定期的に注射を打つ必要がありますが、いまは病院に通わなくても自宅で注射することができますし、大きな副作用がないことも確かめられています。適用範囲であれば早い時期に治療を始めることをお勧めします。思春期になる前に少なくとも数年間、成長ホルモンを投与する必要があるからです。

 適用にならないと判断された場合には、たいへん高価な薬で治療費がかさみますし、強いて治療する必要がないケースなのだと考えたほうがよいと思います。

 こうしたホルモン補充療法以外に、お子さんの成長ホルモンの分泌を促し、身長の伸びをよくするために以下のことが良い影響を与えます。

 まず、よく寝ること。成長ホルモンは睡眠中に活発に分泌されます。早寝早起きをして質の良い睡眠を十分にとることが身長の伸びに良い影響を与えることでしょう。

 次に、よく運動すること。これはスポーツに限ったことではなく、外遊びをしたり歩いたり、からだをよく動かすことは骨や筋肉の成長を促します。

 そして、栄養バランスのとれた食事をとること。とくに、骨や筋肉のもととなるたんぱく質を十分に摂るよう心がけてください。また、成長ホルモンは空腹時に分泌が促進されます。おなかが空いた状態で食事をすることが大事です。できる範囲で家族いっしょに食卓を囲み、楽しい雰囲気で食事をすると食欲も進み、消化も促されることでしょう。

 ご両親は、お子さんがこうした生活リズムのある、メリハリのある毎日を過ごすことをサポートしてあげてください。休日には散歩をしたり外遊びをして、おなかが空いた状態で栄養のある食事をおなかいっぱい食べて、質の良い睡眠をとることが、お子さんの心身の成長に良い影響を与えることと思います。

 そして、定期的に専門医の診察を受けて発育を見守ってもらい、必要があれば検査や治療を積極的に受けていただくことがよいと考えます。

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