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病気・予防接種

Q. 2歳2か月。アデノイドが大きく耳鼻科通いを繰り返します。 (2013.1)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳2か月の男の子です。アデノイドが大きいとのことで、赤ちゃんのころから鼻がつまりやすかったりいびきをかいていたりしていましたが、先日、中耳炎にかかったときに症状が悪化しました。病院で「アデノイドが大きいうえに炎症を起こしている」と言われ、抗生物質を処方されました。幸いその薬が効いて、呼吸が苦しくて眠れないという状態は改善しましたが、あいかわらず鼻づまりやいびきがあり、耳鼻科通いが絶えません。また、常に口が開いているのも気になります。近所の耳鼻科では、この年齢では手術をせず薬で症状が緩和されるなら様子を見ていくべきだと言われましたが、大きな病院では積極的に手術を勧めているそうです。意見が大きく異なり、今後どうするべきか悩んでいます。

回答者: 横田俊一郎先生

 アデノイド増殖症の治療に関するご質問ですが、アデノイドは扁桃のひとつです。 

 扁桃とは咽頭(のど)の粘膜下にあるリンパ組織の総称で、のどを囲むようにリング状に存在しています。いくつかの部分に分かれていて、口を開けたときにのどの横から出っ張っている扁桃を口蓋扁桃と呼び、日常で「扁桃肥大」と言うときには、口蓋扁桃の肥大を指して使われることが多いです。

 一方、鼻の奥とのどの間にあるリンパ組織をアデノイドと呼び、咽頭扁桃とも呼ばれます。通常は口を開いただけでは見ることができません。

 正常な子どもの成長の過程で、アデノイドは1歳頃から大きくなり始め、6〜7歳で大きさのピークに達します。そして、その後は自然に消退し、成人では痕跡を残すだけとなるのが普通です。この過程で普通以上に大きくなり、さまざまな問題を起こすものを「アデノイド増殖症」といい、治療の対象となることがあります。正確な診断にはレントゲン撮影やファイバースコープによる検査が必要となります。

 アデノイド増殖症の症状の第一は鼻づまりです。鼻呼吸が障害されて口呼吸になり、口をぽかんと開けているような顔つきになります。また、睡眠が障害されて、睡眠時の無呼吸、昼間の病的な傾眠などが見られます。また、鼻水が流れにくくなり、鼻炎や副鼻腔炎の慢性化が起こることもあります。さらに、アデノイドの横にはのどと中耳腔を結んでいる耳管が開口していますので、ここが塞がれて難治性の滲出性中耳炎を起こすこともあります。

 これらの症状が強いときに治療が必要となるわけですが、まずは薬の内服や鼻吸入が行われ、それでも改善せず症状が治りにくいものが手術(アデノイド切除術)の対象となるわけです。

 手術は通常は3〜4歳以降に行われますが、症状が強い場合にはもっと低年齢でも行われています。扁桃は免疫機能を担っているので切除したときの影響が心配されますが、1歳6か月を過ぎれば免疫機能には問題が起こらないといわれています。

 アデノイド切除術には全身麻酔と1週間程度の入院が必要です。手術ができる病院を受診して、よく相談してみることをお勧めします。