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発育・発達

Q. 生後2日。胎内で脳が酸素不足になってしまい、発育への影響が心配です。 (2013.1)

  • (妊娠週数・月齢)0か月

出産後2日目です。胎内で羊水が減り、赤ちゃんが便を吸ってしまったようです。また、胎内で脳への酸素が足りなかったようです。まだ体重が2,100gなので、もうすこししっかりしてから脳の検査をしましょうと言われました。生まれて2日で、まだ目も開かない、泣かない、ほとんど動かない状態です。赤ちゃんに障害が残ってしまうのでしょうか?

回答者: 多田裕先生

 出産後間もない赤ちゃんが胎内で酸素不足になってしまったと言われて、ご両親はさぞ心配のことと思います。

 ご相談の文面に、「羊水が少なくなって便を吸い込んでしまった」「脳への酸素が足りなかった」とあるので、おそらく胎便吸引症候群による呼吸障害が起きてしまったのだろうと考えられます。

 赤ちゃんは母親の胎内で羊水を飲みこんだり吐いたりすることで肺の機能を発育させていますが、何らかの原因でお母さんの血液から供給される酸素が不足すると、本来なら胎内では排出されないはずの便が出てしまうことがあります。それだけでなく胎児が苦しくなって大きな呼吸様の動きで便により混濁した羊水を吸い込んでしまい、呼吸障害が起きるのです。

 また、胎盤からの血液循環が悪くなり赤ちゃんに十分な栄養や酸素が供給されないと、その結果として羊水が少なくなる場合もあります。この場合、羊水が少ないために呼吸の練習が十分にできないうえ、子宮に圧迫されて肺の機能が十分に発育しないまま生まれてしまうため、呼吸障害が起きることがあります。

 ご質問からは、そのどちらが原因なのか不明ですが、生後は呼吸障害があれば人工呼吸器で呼吸管理をしたり、必要な酸素を補うなど適切な医療が行われていることでしょう。

 そして、経過を見ながら必要と思われる脳の検査、たとえばCT検査や脳波検査などを行って、最善の治療や療育が行われていくことになると思います。

 生まれた直後の症状から、脳の酸素不足がこれからの赤ちゃんの発育にどんな影響を及ぼすことになるのかを、いまの時点で予測することはできません。まだ目も開かない、泣かない、ほとんど動かない状態とあるのが、低酸素状態があったための症状だとすると、発育や発達に何らかの影響が残る可能性も否定はできませんが、その影響を少しでも減らすために医師は懸命の努力を続けているものと推察します。

 幸い、子どもには強い回復力があります。あまり先のことを不安に思うより、目の前の課題に最善の努力で向き合うことがよりよい結果につながると思います。いまは医師を信じて治療は任せ、赤ちゃんの回復を待ちながら医療機関とご両親が協力しあい、赤ちゃんの成長する力を最大限に伸ばせるようサポートすることを考えていきましょう。赤ちゃんの回復にあわせて語りかけたり、あやしたり、一緒に遊んだり、豊かなコミュニケーションの時間をもつことなどが大事になると思います。

 いまのご両親のショックや不安は推察するに余りありますが、起こってしまったことをあれこれ思い悩むことより、赤ちゃんの回復する力に期待して「いまできる最善のこと」を尽くすことが大事だと思います。