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病気・予防接種

Q. 第2子妊娠7週目。4歳半の長女が伝染性単核球症と診断されました。 (2013.2)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳半の娘の母親です。現在、第2子妊娠7週目に入ったところです。4歳半の長女が、病院で「伝染性単核球症(EBウイルス)」だと診断されました。これはどういう病気でしょうか。また、妊娠中の第2子への影響も心配です。

回答者: 横田俊一郎先生

 「伝染性単核(球)症」は耳慣れない病名かもしれませんが、EBウイルスというウイルスにはじめて感染したときに起こる病気です。EBは発見者2名の名前の頭文字にちなんでつけられた名前です。

 このウイルスはヘルペスウイルス科に属していて、単純ヘルペスや水ぼうそうの原因となるウイルスの親戚と考えてよいでしょう。成人するまでにほとんどの人が感染するありふれたウイルスですが、子どものときに気づかれないうちに感染していることが多いのが特徴です。一度感染すると生涯その人に住みついて、ときどき唾液の中に出てくることもわかっています。このように人と共存しているありふれたウイルスなのですが、ときに伝染性単核球症という病気となって発病します。

 伝染性単核球症の症状は、高熱が数日間、ときには一週間以上も続き、首のリンパ節が腫れます。全身に発疹が出たり、目のまわりが腫れたりすることもよくあります。また扁桃に白い苔がついたり、上あごに出血斑が出たり、肝臓や脾臓が腫れて肝機能が悪くなったりすることもあります。

 血液の検査で、形の変わったリンパ球(異形リンパ球:単核球ともいわれます)が増えるのでこの病名がつけられています。思春期に発病することが多く、他の人の唾液などを介して感染することから、「キス病」と呼ばれたこともありますが、ご相談のお子さんのように小学校入学前に発病することもまれではありません。

 EBウイルスに効く薬はなく、特別な治療法はありません。発熱に対しては一般的なホームケアで十分ですが、ときに高熱が続き全身状態が悪くなって入院を必要とすることがあります。また、肝機能がひどく悪くなると、入院したりその後の経過観察が必要となったりします。ほとんどの人は自然に治りますが、EBウイルスに先天的に抵抗力が弱い子どもがいて、そのような場合には重症になったり慢性化したりすることがごくまれにあります。

 妊娠中に母親がはじめてEBウイルスに感染するとどうなるかが気がかりですが、妊娠中の感染が胎児に与える影響については、文献を調べてみてもほとんど記載がなく、問題とされることもありません。また、一般的にはお母さん自身がすでに感染している可能性が高いので、これから感染する可能性自体も少ないと考えよいのだろうと思います。