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食事と栄養・離乳食

Q. 市町村に勤める栄養士です。自閉症の子の偏食に悩む親をどうサポートすればいいですか。 (2013.3)

  • (妊娠週数・月齢)3歳

栄養士です。3歳児健診で自閉症の子の偏食について相談がありました。一般的な普通食は食べず、アイスを1日に3つ食べて、さらに母乳も継続中とのこと。ざらついた食物はまったく食べてくれず、成長曲線もゾーンから外れています。精神科にもかかっています。このような自閉症の子の偏食に悩む親に対して、どのようにアドバイスし、サポートすればいいでしょうか。

回答者: 帆足暁子先生

 自閉症スペクトラム障害のお子さんの偏食は極端な場合が多く、親ごさんからの相談もよくあります。
 ご相談のお子さんはアイスを3つと母乳を継続されていて、ざらついた食物はまったく食べてくれず、成長曲線がゾーンから外れているとのことで、心配されているのだと思います。

 まず大切なことは、いわゆる好きか嫌いかという「偏食」とは異なり、決まった形や決まった色等のこだわりや、はじめての物に対する極端な拒否というような、お子さんの過敏性からきている「行動」という理解です。そして、適切な対応をすれば、だいたい小学3〜4年生の頃には改善されるものだということをわかってもらいましょう。つまり、強制的に食べさせようとしたりせず、拒否するものでもゆっくり少しずつ食べられるように工夫していくことで、改善できるものだということです。それがわかると親ごさんも少し気持ちにゆとりができます。
 次に大切なことは、親ごさんと一緒に考えてくれる人の存在です。過敏性のある子は、拒否は強かったり、パニックになるので心配になったり、どこまで食べることを勧め、どの時点で引いたほうがいいのか、など判断が難しいことが多いのです。それに、お子さんによってこだわる食べ物もこだわり方も異なるために、参考書を読んでも該当しないことが出てきます。ですから、偏食の問題がある程度落ち着くまで一緒に考えてくれる人が必要なのです。

 では、具体的に「ゆっくり、少しずつ食べられるようにする工夫」について考えましょう。それには、子どもの偏食のパターンを確認することです。いくつか項目があります。

視覚——見た目が影響している場合。黄色い食べ物はよくてその他はダメとか、丸いものはよくて細長いものはダメということもあります。色や形へのこだわりです。
食感——冷たいものはよくてぬるいものはダメ。あるいは、しっとりしているものはよくてパサパサしているものはダメなどで、たとえばコーンフレークはコーンフレーク、牛乳は牛乳として食材を分ければよいこともあります。
環境——静かだとよくて、テレビがついているとダメなど環境によることもあります。
経験——はじめてのものは一切ダメなことも多いです。

 そして、食べられる食材・調理形態・環境などと、食べられない食材・調理形態・環境などとに分けます。それらを把握したら、できるだけ食べられる物や環境をつくるように工夫していきます。細長いものが好きなら食べてほしい食材を全部細長く切ったり、パリパリした食感が好きならパリッと揚げ物にしたりします。大きく切ったり、ひと口サイズに小さく切ったりするのもよいですし、赤いトマトを黄色いトマトに変えたりして食べられる状態を試します。

 それから、一日の生活を振り返って、食事時間におなかがすくような生活リズムになっているかを考えます。そのポイントは2つあります。
 まずは、「おやつ」の考え方です。よく、食事は食べないからと好きなおやつを買い置きして、いつでもおなかがすいたら、食べられるようにしておくことがあります。これでは偏食はなかなか卒業しません。嫌いな物を食べるということは、エネルギーがいります。おなかがすいてたまらないから嫌いでも食べたいと思う、子ども自身のエネルギーを活用します。また、好きなおやつを食べたいときに、親ごさんが食べてほしい食材を少しだけ出して「これを食べたら、次に好きなおやつを食べる」というパターンをつくって、嫌いな物を食べたご褒美として好きなおやつが食べられるという勧め方もあります。
 もうひとつは「活動性リズム」です。朝起床してから就眠するまでが規則正しく安定していて、日中はおなかがすくように体やこころを十分に使って遊び込めているのかを考えます。いつも家にじっとしていると食欲も出ません。公園で走り回ったり、家の中ではくすぐりっこをしてケラケラ大笑いをするような躍動感は食欲を刺激し、こだわりが減少し、偏食を緩和することにもつながります。

 偏食の子どもは「濃い味つけの物」「食感がクリアであるもの」「唾液がたくさん出て飲み込みやすいもの」を好む傾向があるそうです。そういうものを探して試してみると、食べられるものが増えていくかもしれません。

 3歳でチョコレートしか食べられなかった男の子がいます。保育園に入って保育士さんたちが工夫してくれ、小学生になったいま、ほとんどの食材を食べられるようになり、体格もずいぶんよくなりました。好きなお友だちができると、その子の真似をして食べる姿も見られました。集団という環境も活用できるとよいと思います。
「食べられるものが増えるプロジェクト」と思って、親ごさんと一緒に、成功したり失敗したりしながらチャレンジしてください。