病気・予防接種
Q. 生後2か月。股関節脱臼の検診で「開排制限」と診断されました。 (2013.5)
- (妊娠週数・月齢)2か月
生後2か月の男の子です。第3子です。生後2か月を過ぎたので股関節脱臼の検診に行きました。そこで、「脱臼はしていないが、右の股関節が少し固いので1か月後にまた診せてください」と言われました。検査受診票には「開排制限(疑いを含む)」とありました。オムツを厚めに当てる、コアラ抱っこをするなど、上の2人と同じようにしていたのですが、その他の対応方法があれば教えてください。また、もしも股関節脱臼だった場合の対応法についても教えていただければと思います。
回答者: 横田俊一郎先生
股関節は、大腿骨骨頭が骨盤の臼蓋と呼ばれる屋根のような部分に入って関節を作っています。股関節脱臼は大腿骨骨頭が臼蓋から外れた状態です。一方、「股関節開排制限」は「股の開きが悪い状態」を意味しています。股関節脱臼があると多くの場合開排制限がありますが、開排制限があると股関節脱臼にすぐに結びつくわけではありません。
股関節脱臼は1000人に1〜2人くらいあり、女児は男児の7〜8倍多いことがわかっています。ご相談のお子さんは男の子なので、股関節脱臼である可能性は女の子に比べるとかなり低いことがわかります。
開排制限の原因としてもっとも多いのが「向き癖」です。たとえば右への向き癖が強いと、赤ちゃんの原始反射によって左足が伸びた状態が続き、左の股関節が開きにくいという状態がよく見られます。これは股関節の問題とは関係がなく、向き癖がなくなれば開排制限も自然に改善します。日常の健診で見られる開排制限のかなりの部分が向き癖によるものです。
このような事情なので、まずは経過を見ていけばよいと思います。開排制限が続けば股関節の超音波検査やレントゲン検査で股関節脱臼があるかどうか判断します。検査の目安は3か月と考えてよいでしょう。
股関節脱臼と診断されれば、生後3〜4か月からリーメンビューゲル(足を開いて曲げた状態で、股関節に大腿骨頭が常に入っている状態を維持する装具)というバンドで治療するのが一般的で、これでも改善しないときには入院して足を牽引して脱臼を治す治療をします。
股関節脱臼は、おむつの当て方などで脚を無理に伸ばした状態を続けると起こりやすくなることがわかっています。そのため、おむつを厚めに当てる、コアラ抱っこをするなどの指導がされますが、要は赤ちゃんの脚が自由に動かせるような状態を作っておくことが大切なのです。おむつをあまりにも厚く当てると、赤ちゃんはかえって脚を動かしにくくなることもあります。
ご相談の男の子については、まずは普通に生活して次の健診で再度チェックしていただくことでよいと思います。