病気・予防接種
Q. 2歳の女の子。半年前、急にからだの力が抜けて手足が土色に変わりました。 (2013.7)
- (妊娠週数・月齢)2歳
アメリカ在住、2歳になった娘のことで相談します。1歳半の頃、起床して30分程遊んでいたのですが、急に側にあったベッドにもたれ掛かり、眠そうにからだをフラフラし始めました。起きたばかりなのでおかしいと思い抱き上げると持っていた絵本を落とし、からだに力が入らない様子でした。朝食前でしたのでスナックを与えると、眠そうな様子ながらも食べました。しかし手足が土色に変色していたので、ドクターに連絡しましたが、スナックを食べ終わる頃には、手足の色も娘の様子も通常に戻っていました。ドクターの話では、食べ物を与えて改善したのであれば低血糖ではないかとのことでした。その後の1歳半健診で違うドクターに聞くと、低血糖ではなく小発作かもしれないとのことでした。その後半年、同じような症状はなく、少々太り気味ですが健康です。家族にてんかん等の病気をもつものもいません。子どもの低血糖と小発作について、また、ほかに考えられる病気などがあれば教えてください。
回答者: 横田俊一郎先生
人間の血糖値は、多少変動はあってもほぼ一定に保たれていて、簡単に低血糖にはなりません。しかし、子どものときには血糖値を一定に保つ機能が未熟で、胃腸炎や、疲れて早く眠ってしまうことなどで食事がとれないために低血糖になることがときどきあります。顔色が悪くぐったりしたり、強い腹痛を訴えたりするのが症状の特徴です。尿や血液の中のケトン体という物質が多くなっていることが多く、「ケトン性低血糖」という病名で呼ばれます。昔「自家中毒」と呼ばれていた病気の一部はこの病気だと考えられています。体質的なもので、小学校に入る頃になると低血糖にはなりにくくなります。
予防としては、食事の間隔が開いたときにブドウ糖を含む食べ物や飲み物(氷砂糖、あめ、ジュースなど)を早めにとっておくのが効果的です。軽症の低血糖はこのように体質的なものと考えてよいのですが、先天的な代謝異常症でも低血糖になる病気がいくつかあります。先天的な代謝異常症は、ときに重症化して生命にかかわることがあるので、重症な低血糖や、繰り返す低血糖では専門医療機関で詳しい検査が必要となります。
てんかんの小発作は、いまは「欠神発作(けっしんほっさ)」と呼ばれます。短時間(数秒〜10秒)意識がなくなり、このときに唇や手を同じように動かしたり、全身の力が抜けたりすることがある、てんかん発作のひとつです。4〜5歳から小学生くらいによく見られる発作で、繰り返し同じようなエピソードを起こします。脳波では特徴的な波形が見られるので、脳波検査をすれば診断は比較的簡単です。よく効く抗けいれん薬もあります。
ご相談のエピソードについては、やはり低血糖発作と欠神発作が疑われ、年齢的にはそれ以外のものは考えにくいと思います。その後何も起こっていないので、欠神発作よりは低血糖発作のほうが可能性は高そうですが、相談の状況だけからでは断言はできません。
低血糖は検査ですぐにわかるので、同じようなエピソードがあったときには緊急で医療機関を受診し、検査を受けるつもりでいてください。欠神発作がどうしても心配であれば、脳波検査を受けておくのもひとつの方法だと思いますが、現地の医療事情もあるので、小児科医の先生と一度相談することをお勧めします。