病気・予防接種
Q. 生後3か月。側頭部が凹んでいます。治療や改善法を教えてください。 (2013.8)
- (妊娠週数・月齢)3か月
生後3か月になる娘です。両側の側頭部が凹んでいます。とくに左側の凹みが激しいです。かかりつけの小児科医に相談したところ、鉗子分娩だったのでその影響を受けたのではないかとのことで、改善は見込めないと言われました。ほんとうに、このまま自然に改善する可能性はないのでしょうか。ヘルメット治療による矯正法があるとも聞きますが、効果はあるのでしょうか?少しでも改善するために何かできることがあれば、教えてください。
回答者: 横田俊一郎先生
分娩に伴う頭蓋骨骨折は比較的多く見られるものです。狭い産道を通ってくるために起こりやすいのですが、頭蓋骨の骨折には、ヒビが入る「線状骨折」と、骨が凹む「陥没骨折」とがあります。線状骨折は頭血腫を合併していることが多いのですが脳への影響は少なく、治療を必要としないことが多いとされています。一方、陥没骨折は外からの力が脳の表面にまで加わっていることがあり、脳挫傷などを伴うこともあるとされています。もちろん軽症の場合は脳への影響はありません。原因としては、ご相談の赤ちゃんのように鉗子分娩がもっとも多いことが知られています。
重度の陥没骨折の場合には、頭部CT検査などで陥没の程度や出血の有無、脳への影響などを検査するのが一般的です。このお子さんが検査を受けたかどうかはわかりませんが、検査を受けなかったのであれば、比較的軽度の陥没と判断されたのかもしれません。ご心配であれば、脳神経外科を受診して相談しておくのがよいでしょう。
赤ちゃんの骨は柔らかいので陥没しやすいのですが、陥没した骨はすぐにはもとに戻りません。陥没している部分が脳の表面を圧迫している可能性がある、あるいは外見的にもかなり問題があるという場合には、手術をして陥没を治すことが必要となりますが、そうでなければこのまま経過観察することになるでしょう。
新生児期であれば吸引して陥没を治す方法もあるようですが、これについても脳神経外科の先生に相談することをお勧めします。
ヘルメットによる矯正法は、国立成育医療研究センターの「あかちゃんの頭の形外来」で行われており、だいぶ知られるようになりました。しかし、これは頭の形のいびつ(斜頭)や絶壁頭(短頭)を治療するためのもので、陥没骨折をヘルメットで矯正することは難しいと考えます。
以上のように、陥没がかなり目立つのであれば、新生児も扱っているような脳神経外科を受診して相談しておくことをお勧めします。また、脳への影響はすぐには判断できませんが、定期的に健診を受け、子どもの発達を確認してもらうことがいちばん大切なことだと思います。