病気・予防接種
Q. 1歳8か月。喘息性気管支炎から気管支喘息に移行するのではと不安です (2013.11)
- (妊娠週数・月齢)1歳7か月
喘息性気管支炎について質問します。1歳8か月ですが、昨年かぜをこじらせて喘息性気管支炎と診断されました。それ以来、季節の変わり目や雨の日、ちょっとした気温の違いから咳ばかりするようになりました。咳は日に日にひどくなり、喘鳴もひどく、いまは吸入と内服薬を毎日続けています。今年も昨年同様10月に喘息性気管支炎で入院しましたが、ステロイドの点滴も内服も吸入もあまり効かないまま退院しました。このまま喘息性気管支炎から気管支喘息に移行しないか、とても不安です。下の子は未熟児で生まれ、体が弱いのですが、どうにか気管支が強くならないかと思う毎日です。専門の呼吸器科などで診察を受けたほうがいいでしょうか。
回答者: 横田俊一郎先生
小児科では、ゼイゼイしやすいお子さんが受診されることが多く、このような相談を受けることが少なくありません。
まず、「喘息性気管支炎」という病名は1つの病気を指しているのではなく、ゼイゼイする状態の病気をひと括りにして使われる病名です。乳幼児期の気管は細くて柔らかいため、軽い気管支の炎症などでも分泌物が溜まってゼイゼイと音が聴こえることがよくあります。もちろん気管支喘息の場合も同じような音が聴こえるので、喘息発作なのか、気管支炎なのか、また両方が一緒に起こっているのか・・・・・・など判断に苦しむことが少なくありません。そこで、「喘息性気管支炎」という病名を付け、治療をしているというわけです。医学的には喘息性気管支炎という病気を付けるのは正しくないと言われたりもしますが、実際には便利なのでこの病名がよく使われています。
最近よく問題にされるRSウイルス感染症では、細気管支という気管支の末梢の細い部分に炎症が起こり、ゼイゼイすることがよくあります。昔はRSウイルスのことが知られておらず、このようなお子さんを乳児喘息や喘息性気管支炎と診断していましたが、現在では「RSウイルス感染症」という正確な診断名がつくようになりました。
また、小さい子どもはかぜをひいたときに鼻炎や副鼻腔炎を起こすことが多く、鼻水がのどに回ってゼイゼイと音が聴こえることがよくあります。このようなお子さんが気管支喘息と間違って診断され、治療を受けていることもときどきあります。
さて、気管支喘息の場合にはゼイゼイすること以外にいくつかの特徴があります。まず、単にゼイゼイするだけでなく、典型的な発作のときには息を吐くのに時間がかかり、ヒューという音が聴こえます。また、繰り返し起こることが特徴で、天気や季節の変わり目、鼻かぜをひいたときなどに発作が出ます。さらに生まれつきの体質が大きく関係していますので、お父さんが小さい頃ゼイゼイしやすかったなど、両親や兄弟に同じような症状の人がいるかどうかが診断には重要な手がかりを与えてくれることになります。
以上のように、気管支喘息かどうか判断するのは難しくても、ほんとうは最初から病名は決まっているのです。「喘息性気管支炎から気管支喘息に移行する」というようなことはありえません。
ご相談のお子さんは、経過から考えると気管支喘息の可能性が高いように思います。気管支喘息の治療はガイドラインができており、どこでも同じような治療を受けることができますが、効果が不十分であればアレルギーを専門としている小児科を受診してみるのがよいと思います。