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病気・予防接種

Q. 生後6か月。アレルギー検査を受けたら、肝機能と炎症について指摘されました。 (2013.12)

  • (妊娠週数・月齢)6か月

生後6か月の息子についてご相談します。そろそろ離乳食を始めようと思い、アレルギー検査をしました。アレルギー検査は非特異的IgEが126という結果でした。その際、肝機能と腎機能も検査してくれたようで、アレルギーよりもその結果が心配になっています。白血球数11,600 好酸球10.9% リンパ球56.9% AST76 ALT62 ALP844 LD340 コリンエステラーゼ534 尿素窒素4.4 クレアチニン0.14で、腎臓も気になります。先生は肝機能と炎症のことを話し、今後経過観察していこうとのことでした。この検査結果から、どんな病気が心配されるのでしょうか。また、今後はどのくらいの頻度で病院を受診していけばいいでしょうか? 授乳や離乳食など普段の生活で気をつけることなどがあれば、あわせて教えてください。

回答者: 横田俊一郎先生

 以前は、子どもは成長過程にあるため検査の正常値も月齢や年齢によって変化し、簡単には決めることができませんでした。検査結果に付いている「正常値」は、一般的には成人の正常値です。子どもの正常値については個人の経験と勘に任されていましたが、1996年に「小児基準値」研究事業が完成し、「子どもの正常値」が1冊の本にまとめられました。

 この本によると生後6か月の男児では、ASTの50パーセンタイル値45、2.5パーセンタイル値25、97.5パーセンタイル値86です。同様に、ALTは25、13、65、ALPは645、334、982、LDは565、369、817、コリンエステラーゼは379、264、569、尿素窒素8.6、3.7、14.7となっています。50パーセンタイル値とは正常な子ども100人のデータを無作為に集めたときに下から50番目の値で、一般的には2.5パーセンタイルから97.5パーセンタイルまでを検査の基準値(正常値)と考えています。

 これを見ると、ご相談の検査結果はすべてこの基準値に入り、とくに異常値と考える必要はないことがわかります。AST、ALTは激しい運動後に上昇することが知られていて、採血が難しく大泣きする、長時間上腕を押さえていたなどの影響で若干値が高くなることがあります。

 また、クレアチニンはパーセンタイル値が示されていませんが、0.2〜0.7が正常値です。クレアチニンは全身の筋肉のクレアチンに由来するものなので、子どもの正常値は成人よるずっと低くなります。腎機能が悪いときにはクレアチニンの値が上昇するので、クレアチニン0.14はやや低いですが、少なくとも腎機能が悪いことは示していません。

 白血球数は成人では1万未満が正常値ですが、6か月児では1万5千くらいまでは正常です。リンパ球は成人では白血球の30〜40%ですが、乳幼児期は60〜70%を占めるのが正常です。好酸球は正常では数パーセントですので、10.9%はやや多く、これはアレルギー体質であることを示す検査所見といえます。また、IgEもこの月齢では10U/ml以下が一般的なので、126は高値であり、これもアレルギー体質を示していると考えられます。

 以上から、肝機能を示す値はやや高めではありますが正常範囲内で、何も問題はない可能性が高いと思われます。とくに注意することもなく、年1回アレルギー検査をするのであれば、そのときに再検査すれば十分です。

 お母さんや兄弟が非常に強いアレルギーをもっている場合を除けば、アレルギー検査の結果を見て食事制限をすることはお勧めできません。まずは食べてみて、何か反応が起これば検査をして考えるという姿勢でよいのです。軽いアレルギー反応では、厳密な食物制限をするよりも、大丈夫な量を食べていたほうが早くアレルギーが治るとも言われるようになっています。まずは主治医と相談し、怖がらずに食べさせてみてはいかがでしょうか。