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Q. 4歳女児。1年経っても幼稚園の先生や友だちと会話ができません (2009.4)

  • (妊娠週数・月齢)4歳

4歳の女の子です。幼稚園に通って1年になりますが、先生や友だちと会話ができません。幼稚園に入園するまで近所に歳の近い友だちがおらず、大人が遊び相手でした。親の姿が見える状況であれば話せるし、遊べるのですが、子ども同士の輪に自ら入っていけません。園での生活は無言の会話で成り立っているようです(トイレを目で訴えるなど)。運動会やダンスなど声を出さずに済む状況では協調性もあり、活発に動きます。娘は「恥ずかしいから」と言いますが、1年経っても状況が改善しないことに頭を悩ませています。

回答者: 帆足暁子先生

 幼稚園に通って1年。最初は慣れたら大丈夫だと思っていたのに、変わっていかないと不安になりますね。幼稚園に入園するまでは大人との関わりだったことや、親ごさんと一緒だったら、積極的にもなれること、ことばを発しなければ協調性もあることなど、ちゃんとお子さんを見ておられるのですね。そして「恥ずかしいから」と、4歳なのに自分の気持ちをきちんとことばにできる、ステキなお子さんですね。

 考えるポイントは2つあります。

 ひとつは、お子さんにとっての幼稚園の意味です。お子さんは幼稚園を楽しんでいるでしょうか。楽しんでいるなら、いまはこのままでいいのです。無言の会話であっても成立していればそれでよいのです。お子さんが楽しいと思うことが、次にことばを使ったコミュニケーションにつながります。相手に伝えたいことや思いがあるから、ことばが必要になるのです。

 もしも楽しんでいないとしたら、お子さんにとって幼稚園がまだ安心できる場所になっていないのかもしれません。苦手なタイプの子どもがいたり、担任の先生と相性が合わなかったり、あるいは幼稚園の空間の広さが不安な気持ちを起こさせることもあります。何が原因なのかを見つけてお子さんに共感していくことが、話せることよりも大切です。

 次に、お子さんの気質です。「気質」とは「どのように行動するか」ということで、生まれつきの素質です。アメリカの精神科医トマスとチェス夫妻の研究が有名ですが、彼らによれば、子どもには「育てにくい子ども」「育てやすい子ども」「時間のかかる子ども」というタイプがあるそうです。もしかすると、お子さんは「時間のかかる子ども」のタイプなのかもしれません。よく「石橋をたたいて渡る人」という表現をしますが、その子どもバージョンです。ゆっくり、慎重に、大丈夫なのかを確認しながら自分のペースで環境に慣れていきます。そうだとしたら、お子さんのペースを大切にしてください。強制するとかえって不安や緊張を強くしてしまいます。イソップ寓話「北風と太陽」の話を思い起こしてください。

 これらのことを考えながら、試してみてもいいことがあります。
それは、お子さんに「幼稚園で声を出す」体験をしてもらうことです。子どもが思わず声を出すのはどういうときだと思いますか? 追いかけっこをして逃げてつかまりそうになったとき、くすぐられたとき。それに、夏なら水遊びで水の掛け合いをしたときなど。そういう楽しい体験の中で、思わず声を出さずにはいられない場面をつくってもらうのも話し出す契機となることがあります。「幼稚園では話さない」という自分のイメージをつくってしまい、そのイメージを崩せなくなっている場合もあるからです(くれぐれも、嫌な体験にならないように配慮が必要ですが)。

 小学校で話をしなかったというお父さまにお会いしたことがあります。彼は、話をするように強制されたことがとても嫌だったそうです。なぜ話をしなかったのかは自分でもわからないそうですが、あるときから普通に話せるようになっていたそうです。大人になった彼は立派な父親であり、社会人でした。

 お子さん自身にとって「話したいのに話せない」のが辛いとすれば、そのときにはじめて「話さない」ことが問題となります。そういう場合や、この回答を読んでくださっても心配な場合には、ひとりで悩まず気軽に育児相談をしている保健センターやクリニック、子育てセンターなどを活用してください。そのための社会資源なのですから。

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