赤ちゃん & 子育てインフォ

ホーム妊娠・子育て相談室インターネット相談室Q&Aバックナンバー病気・予防接種

病気・予防接種

Q. 出産直後に赤ちゃんが無呼吸になりました。悪影響が出る心配はありますか。 (2009.11)

  • (妊娠週数・月齢)0か月

先日、出産しました。出産直後、羊水を吐き出して1回目の産声をあげました。その後、へその緒がつながったまま看護婦さんから赤ちゃんを渡され、わたしのおなかの上でタオルにくるまれました。1〜2分後、看護婦さんが赤ちゃんをのぞき込み、顔だけ青白くなっている異変に気づきました。さらに約1分後、赤ちゃんが再度羊水を吐き出して2度目の産声をあげました。おそらく、羊水が完全に吐き出されていなかったと思われます。1回目の産声から2回目の産声までの間、無呼吸になっていたのではないかと考えられますが、赤ちゃんに何か悪影響が出る心配はないでしょうか。

回答者: 多田裕先生

 赤ちゃんは生まれてくるときやその直後に、うまく肺呼吸ができずに皮膚の色が悪くなってしまう(チアノーゼといいます)ことがあります。出生時に呼吸が開始できない場合を「新生児仮死」、生後呼吸が安定したあとで停止してしまう場合を「無呼吸発作」といいます。

 赤ちゃんはお母さんのおなかのなかで臍帯の血液を通じて胎盤から酸素を得ていますが、分娩時にはその血流が止まり一時的に酸素不足の状態に陥ります。これが脳への刺激となって出生直後に肺呼吸が始まるのですが、最初に息を吸ったり吐いたりするときに大きな泣き声を上げるため、これを産声といいます。そうして徐々に血液中の酸素濃度が上がり、皮膚の色がピンク色に染まっていくのです。
 
 この過程で、たとえば胎盤の機能不全や早期剥離、へその緒がくびれて血流が悪くなる、へその緒が首に強く捲かれてしまうなど、何らかのトラブルが生じて呼吸がスムーズに開始されないと新生児仮死の状態で生まれてくることがあります。この場合、必要に応じて人工呼吸や心臓マッサージなど速やかな蘇生を行う必要がありますが、その評価のもととなるのが「アブガースコア」です。

 アブガースコアとは出生直後の赤ちゃんを「呼吸」「心拍」「皮膚の色」「刺激に対する反応」「筋の緊張」の状態によって採点するもので、これを決定づけるのが「酸素不足がどれほど長く続いたか」です。というのも、酸素が不足すると心拍がゆっくりになる、すると血液の流れが悪くなる、そのことによって脳の酸素が十分でなくなる、その時間が長くなると中枢神経に障害が起きてしまう、というように状態が悪くなってしまうからです。アブガースコアが非常に悪い、重度の仮死で生まれた赤ちゃんの中には脳性まひなどの後遺症が残ってしまうこともあります。

 これは、いったん呼吸が安定したあとに起こる無呼吸発作のときも同様です。それで病院では、呼吸中枢が未熟なことの多い低出生体重児などには一定時間呼吸がないとブザーがなる呼吸心拍監視装置(呼吸監視モニター)をつけて監視するのです。

 さて、ご相談の赤ちゃんですが、出生直後に産声を上げてお母さんに抱いてもらえたということは、アブガースコアが良好で問題がなかったためでしょう。その後、一時的に酸素不足の状態になってチアノーゼが起きたようですが、そのとき羊水を取っただけで自力で回復し、しかもそれがスムーズだったということなら酸素不足が心拍や中枢神経にダメージを与えるほど長く続いたわけではないと考えていいでしょう。

 重度の酸素不足があると、呼吸が回復したのちにけいれんなどの神経症状が生じてしまうことがあります。このような神経症状が認められた赤ちゃんのなかには、のちに脳性まひなどの後遺症が明らかになることがあります。しかし、スムーズに回復したあとで障害が起きることはまずありません。

 乳幼児健診などをきちんと受けて、赤ちゃんの成長を確認していけば十分だと思います。