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発育・発達

Q. 生後3か月半。反応する音の種類が少なく聴力に不安を感じます。 (2009.12)

  • (妊娠週数・月齢)3か月

生後3か月半の子の聴力について質問します。あやすと笑うようになってから、視界に人が入るとうれしそうに笑い、とても表情豊かな子です。アー、ウーなど喃語を話し、答えてあげるとまた返してきます。が、見えていない方向から声をかけたりおもちゃの音を鳴らしても、まったく反応しません。新生児期から現在まで大きな物音には反応しますが、上の子に比べると反応する音の種類がとても少ないと感じます。ひょっとしたら音でなく振動に反応しているのではないか、喃語の返しも偶然そう聞こえるだけで実は聴力が弱いのではないかと不安です。分娩した産院での聴力検査は異常ありませんでした。一応大きな音への反応と喃語の応答があると思うので、乳児検診では様子見を勧められました。いつ、どのような場合に病院を受診すべきでしょうか。

回答者: 多田裕先生

 生後間もない頃の赤ちゃんは聴覚がまだ十分に発達しておらず、大人では「少し聞こえが悪い」程度の聞こえ方だといわれます。成長するにつれて小さな音もはっきり聞こえるようになるのですが、そのときに赤ちゃんは、音と物が結びついていること、物には名前があることなどを知ります。このことが言語の獲得をするうえで大変重要なことなのです。

 一方、赤ちゃんの耳がちゃんと聞こえているかどうかを知るのは、なかなか難しいことです。というのも、たとえ耳の聞こえが悪くても、赤ちゃんは目に見えるものや大きな音の振動などに反応して笑ったり声を出したりするからです。そのため以前は、2歳頃になってはじめて言葉をしゃべり始めるのが遅れていることから聴覚に問題があることに気づく場合が多かったのです。

 しかし、生後なるべく早い時期、遅くとも生後6か月から1歳ころまでに耳から音の刺激が入ってこないと、冒頭で述べたような脳の中で音と視覚を結びつける力が十分に育たず、その後の言語の獲得やコミュニケーションの形成に努力が必要なことがわかってきました。こうした問題を減らそうと、10年ほど前に導入されたのが新生児聴覚スクリーニング検査です。これは生後間もない赤ちゃんの聴覚を調べる検査で、出産した病院で生後すぐに行う場合が多いのですが、希望すれば退院後に検査だけを受けられる施設もあります。

 このスクリーニング検査では、聴覚に問題がなければ「パス」、問題がある可能性があれば「再検」とされ、経過を追って見て必要なら詳しい検査を受けることになります。耳の聞こえに心配のある赤ちゃんをひとりの漏れもなく発見したいとの思いから「再検」の幅を広くとっていますので、異常がないことがわかる場合が多いのですが、難聴や聴覚障害が発見されることもあります。そのときには補聴器を装着したり、人工内耳の手術をするなどその後の言語の獲得やコミュニケーションの形成に重大なデメリットが生じないように処置をします。

 ご相談の赤ちゃんは「産院で聴力検査をして異常がなかった」とあるので、新生児のときは聴力に問題がなく、3か月のいまもおそらく心配ないと思います。ただ、その場合でも、ときには後から中耳炎などによって聴覚に問題が出てくる可能性もまったくないとはいえません。また、検査方法により感度が違うこともあるので、お母さんが赤ちゃんの様子を見て耳の聞こえが悪いかもしれないと不安に感じることが続くなら、安心のためにもう一度検査を受けることをおすすめします。

 それとともに、いまと同じように赤ちゃんに声をかけたり、抱っこしてあやしたり、喃語に表情豊かに応えてあげたり、赤ちゃんと濃密な関わりを持つのはとても良いことで、大事なことでもあります。私たちのコミュニケーションする力は、聴覚だけでなく五感すべてにさまざまな刺激が与えられることで育っていくことがわかっているからです。

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