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病気・予防接種

Q. インフルエンザ脳症で病院を受診すべき時期や症状がわからず不安です。 (2010.9)

  • (妊娠週数・月齢)2歳

2歳の男の子です。昨冬、インフルエンザにかかって40度を超える熱を出したとき、病院で脳症に気をつけるように言われました。結局、脳症にはなりませんでしたが、そのとき判断に迷い、とても不安でした。というのも、いつもと違ってフラフラしていて、ウトウトしがちで就寝時にはブツブツとひとり言を言っている様子が見られたからです。子どもにどんな症状があるとき、急いで病院を受診すべきなのでしょうか。また、脳症はインフルエンザ以外でも起こるのか、熱が下がってからも起こる可能性があるのかについても教えていただければと思います。

回答者: 多田裕先生

 インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスに感染することで脳が障害を受ける病気で、急速に意識障害などの神経症状が進行して脳に後遺症が残ったり、ときには死に至ることもあります。6歳以下の幼児に多く、インフルエンザを発症して1〜4日で神経症状が現れるのが一般的です。脳症が疑われる症状があったときは速やかに病院を受診して、必要な治療を開始しなければなりません。

 脳症が疑われる症状とは、①ウトウトしがちで呼んでも答えないなど「意識障害」がある、②「けいれん」が続いたり、繰り返し起こる、③意味不明のことを言ったり、したりする「異常言動・行動」がある……などです。こうした症状が見られたら、速やかに医師の診察を受けてください。脳症だった場合は入院して治療することになりますから、入院施設のある大きな病院を受診するか、あるいは、かかりつけ医の診察を受けて必要なら適当な病院を紹介していただくのがよいでしょう。

 インフルエンザ脳症がなぜ、どんなときに起きるのか、まだはっきりとはわかっていません。高熱が出たときに起こる場合が多いのですが、熱が上がり過ぎたことが原因で起きるわけではなく、熱が下がっても起こる可能性があります。欧米など外国では発症例が少なく、日本で多いことが特徴のひとつとされていて、その一因として解熱剤を多用することとの関連が指摘されています。とくにアスピリンやその他の解熱剤を使用した場合に発症が多いことがわかってきたため、子どもの発熱には強い解熱剤を使用せず、もし使用するとしてもアセトアミノフェンなどの比較的安全な薬を使うことになっています。

 こうしたこともあり、インフルエンザに限らず、子どもの発熱時に自己判断で解熱剤を使用することは避けてください。まずは、外側から熱を下げる処置や工夫が大切で、とくに脇の下や股関節など太い血管のある場所を冷やすと効果があります。もちろん、解熱剤を使うことがすべて悪いわけではなく、医師が必要だと判断したときは、その指示に従って正しく用いることが大切です。

 では、どうすればインフルエンザ脳症を防ぐことができるのか?残念ながら、それもまだ解明されていません。一時インフルエンザの治療薬との関係が注目されましたが、治療薬の使用とは関係なしに、インフルエンザにかかるとある一定の確率で脳症が起きてしまうと考えられています。現在のところ、それを防ぐ方法はありません。しかし、インフルエンザそのものを防ぐことが結果的に脳症を防ぐことにつながりますから、早めにインフルエンザの予防接種を受けておくのはよいことだと思います。

 「脳炎」や「脳症」はウイルスや細菌への感染によって脳が障害を受ける病気の総称で、病原体が脳内や髄液中に検出される場合が「脳炎」で、病原体は認められないが脳に浮腫(むくみ)が生じるために神経症状が出る場合を「脳症」と呼んでいます。「脳症」は「インフルエンザ脳症」がよく知られていますが、他の感染症でも起こります。前述したような症状があり脳炎や脳症が疑われるときは、すぐに医師の診察を受けて適切な治療を受けることが重要です。「脳症」だけでなく、呼吸困難や顔色が悪くチアノーゼがあるなどのときにもすぐに受診することが必要です。