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病気・予防接種

Q. 1歳11か月。熱性けいれんで脳波検査を受けたら「てんかん性の棘波」が見られました。 (2012.1)

  • (妊娠週数・月齢)1歳7〜11か月

1歳11か月の女の子です。出産時の異常はとくにありません。5回熱性けいれんを経験したため医師の勧めで脳波検査を受けたところ、脳波にてんかん性と考えられる棘波が見られ、経過観察が必要だと言われました。今後のことは主治医と相談していくつもりですが、一般的に、どんな経過をたどり、どんなことに注意していけばよいのか、アドバイスをいただければと思います。また、入浴時に一度けいれんを起こしています。入浴後の熱は38度以上でしたが、入浴時に起こるけいれんもあるから注意が必要とのことで、この点についても今後の経過への影響などを教えてください。

回答者: 多田裕先生

 乳幼児の発熱時、とくに熱の上がり際に起こるけいれん発作を「熱性けいれん」といいますが、一時的なもので後遺症もなく、成長とともに治癒します。幼い子どもの脳は未熟で感受性が強く、けいれんを抑制する力も弱いために起きると考えられます。繰り返し起きる場合は熱の出始めに坐薬の解熱剤などを用いて予防的治療を行うこともありますが、けいれんが治まってしまえば予後は良好で、薬を用いる必要はないと考える医師も多くいます。

 一方、てんかん性のけいれん発作は、脳内に何らかの問題があることが原因で起こります。脳の活動は「脳波」という電気信号となって神経細胞や筋肉に指令を伝えますが、脳の活動に何らかの異常があると脳波に「てんかん性の棘波」が出て、それが脳全体に広がるとけいれん発作が起こります。発熱によって誘発される場合もありますが、熱がないときにも起こるのが特徴です。しかし、脳波にてんかん性の棘波があっても、必ずてんかん症状が出るわけではありません。

 てんかん性のけいれん発作はひどくなると日常生活に悪影響がありますし、ときには命にかかわったり後遺症が残ることもあるので、けいれんが起こらないよう薬を服用します。てんかんの治療とは、こうして薬でけいれんを抑えていくことなのですが、とくに子どもの場合は症状に合った薬を服用しながら経過観察をし、けいれん発作が起こらない期間が長期にわたると脳波の異常もなくなることが多く、その場合は徐々に薬を減らし、やがて服用を中止します。

 熱性けいれんを繰り返す子のなかには、てんかんに移行する場合があり、以下のような危険因子が重なるときには考慮すべきだとされています。

1.熱性けいれんを発症する前から、発達の遅れや神経学的異常(脳性まひ、小頭症など)が存在するとき
2.熱性けいれんの非定型的特徴があるとき
 ・15分以上けいれんが続く
 ・半身性、あるいは焦点性(ある部分だけに症状が出る)のけいれんが続く
 ・24時間以内に2回以上けいれんが起きる
3.てんかんの家族歴(親かきょうだい)がある

 さらに、私たち小児科医は赤ちゃんが最初に熱性けいれんを起こしたときは髄膜炎など脳の感染症がないか、それまで顕在化していなかった発達の遅れや神経的な問題がないか、などを念頭に診察することにしています。

 さて、ご相談のケースですが、熱性けいれんを5回起こしたので脳波検査をしたら、てんかん性の棘波が見られたとのことですが、前述したように、このことが必ずてんかん症状に結びつくわけではありません。また、熱性けいれんをしばしば起こすことがてんかんへの移行を示すものでもありません。これまでのけいれん発作が発熱時に限られていたことを考えると、熱性けいれんである可能性も高いように思われますが、経過観察を続けていくことが大事でしょう。

 熱性けいれんは6歳前後までには治ってしまうことが多いのですが、もしも、てんかんだと診断されても、きちんと症状に合った薬を服用することで十分にコントロールすることが可能な疾患です。経過が良好なら、やがて薬を止めることもできます。

 いまは不安や心配が大きいことと思いますが、あまり心配しすぎず、主治医に経過観察をしてもらいながら、必要があれば小児の神経疾患に詳しい専門医などに相談してください。

 なお、ご質問にあるように、けいれん発作が入浴中に起こることもありますが、入浴で誘発されることを心配するよりは、ひとりで入浴中に発作が起こると危険なので注意することが重要でしょう。

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