1.予防接種の基礎知識

なぜ予防接種を受けるの?
赤ちゃんの病気に対する免疫は、百日せきや水痘(水ぼうそう)では生後3か月ころまでに、麻しん(はしか)やおたふくかぜでは生後12か月ころまでに失われます。予防接種は、赤ちゃんがその病気に対する抵抗力(免疫)を獲得するのに役立ちます。
最近、「その病気がはやっていないので、予防接種はもう必要ないのでは?」という声を耳にします。この考えは、まだまだ早計です。予防接種で人々が抵抗力をつけているから病気の流行が抑えられていることを忘れないでください。
予防接種(ワクチン)とは?
感染症の原因となる病原体の毒性を弱めたり、薬物で殺す(不活化)などして予防接種液(ワクチン)をつくり、それを体に接種して、その病気に対する抵抗力(免疫)をつくることを「予防接種」といいます。
予防接種に使う薬液のことを「ワクチン」といいます。
感染症の種類はたくさんありますので、そのすべてに対してワクチンをつくるのは無理ですし、病原体の性質によってはできないものもあります。
ワクチンの種類と特徴
予防接種で使うワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチンの2種類があります。
生ワクチン
生きた病原体の毒性を弱めたもの。その病気にかかったのに近い免疫(抗体)をつくることができる。接種後から体内で、毒性を弱めた病原体の増殖がはじまるので、発熱や発疹の軽い症状が出ることがある。十分な抗体が獲得されるのに約1か月が必要。
定期接種では、ロタウイルス、BCG、麻しん(はしか)、風しん、水痘(水ぼうそう)などのワクチンがこれにあたる。
不活化ワクチン
病原体の免疫をつくるのに必要な成分を取り出し毒性をなくしてつくったもの。病原体は体の中で増殖しないので、何回か接種し、体に記憶させて免疫をつくる。一定の間隔で2~3回接種し初回免疫をつけたあと、約1年後に追加接種をして基礎免疫ができあがる。放置すると、また少しずつ抗体が減ってしまうので、長期にわたって免疫を保つためには、それぞれの性質にあわせて一定の間隔で追加接種が必要。
定期接種では、小児肺炎球菌、B型肝炎、百日せき、ポリオ、Hib、日本脳炎、ヒトパピローマウイルスなどのワクチンがこれにあたる。
トキソイド(不活化ワクチン)
細菌が産生する毒素を取り出して、その毒性をなくしてつくったもの。
定期接種では、ジフテリア、破傷風などのワクチン。
副反応について
副反応が心配で予防接種に消極的な親ごさんがいますが、最近はワクチンが改良されているので問題になるような副反応はほとんどありません。実際に感染した場合の結果の重大性と比較すれば、予防接種を受けることの大切さは明らかでしょう。
ただ、人間の体の性質は一人ひとり違いますから、副反応が出る人もいます。程度はいろいろですが、大切なことは、お子さんの体のことがよくわかっているかかりつけの医師に、体調をよく診てもらい、接種が可能かどうかを判断してもらうこと。地域によっては集団接種のところもありますが、その場合には接種会場で診察してくれる医師によく相談したうえで、予防接種を受けるかどうか判断しましょう。
違う種類のワクチンを接種する際の接種間隔
急いで接種する必要があったり、受けるワクチンの接種時期が重なったりした場合は、医師の判断で同時接種をすることがあります。なお、異なるワクチンを接種する際の接種間隔については、ルール(厚生労働省HPが開きます)が定められています。
なお、同じ種類のワクチンを複数回接種する場合には、それぞれ決められた間隔がありますので、間違えないようにしてください。