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妊娠期に知っておきたい感染症と予防接種情報

出典:
『母子健康手帳 副読本』2020年版

生まれてくる赤ちゃんとお母さんのために 妊娠中に気をつけたい感染症

おなかの中で育ち始めた小さな命を守り、無事に出産の日を迎えるために、感染症についての正しい知識をもっておきましょう。

おなかの赤ちゃんに影響を与える感染症があります

ウイルスや細菌などの病原体が原因となって発症する病気を「感染症」といいます。人から人へうつるものもありますが、ペットや家畜などの動物や、食べ物・飲み物から感染するものもあります。妊娠中に初感染すると胎児に影響を与えるものもあるので、感染症が疑われる人は妊婦にうつさないよう配慮しましょう。清潔を心がけ、外出後は手洗い、うがいを欠かさないことも大切です。また、子どもや動物のだ液や糞尿にふれた場合には、よく手を洗いましょう。

気をつけたい感染症

風しんウイルス

妊娠初期(特に妊娠20週ごろまで)に風しんウイルスに感染すると、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群(CRS)をもって生まれてくる可能性が高くなります。風しんにかかったことがない場合や、免疫(抗体)が十分にない場合には、可能な限り外出を避け、人混みに近づかないなどの注意が必要です。また、出産後は、次回の妊娠時の風しん感染を防ぐためにも、早期の段階で風しんの予防接種を受けることが大切です。

また、同居家族を含む周囲の方が風しんにかからないことも、妊娠中の感染を防ぐために重要です。同居家族がいままでに風しんにかかったことがなく、予防接種歴もない場合は、風しんの免疫を確認するための抗体検査を受けるよう検討してもらい、免疫が十分にない場合には予防接種を受けることを検討してもらいましょう。

なお、妊娠中に風しんに感染したとしても、必ず赤ちゃんに先天性風しん症候群が起こるわけではありません。妊娠週数によってもリスクは違います。不安なときは産婦人科医などに相談をし、よく説明を聞きましょう。

ヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1)

血液中のTリンパ球に感染するウイルスです。HTLV-1に感染した人のほとんどは、ウイルスによる病気を発症することなく一生を過ごしますが、ごく一部の人(年間感染者 1,000人に 1人の割合)は、感染してから40年以上経過した後に、成人T細胞白血病(ATL)という病気になることがあります。

また、ATLよりもまれですが、HTLV-1関連脊髄症(HAM)という神経の病気が起きることがあります。

お母さんがこのウイルスをもっていると、母乳を介するなどして赤ちゃんがHTLV-1に感染する可能性があります。このため完全人工栄養が推奨されています。授乳方法については医師とよく相談してください。

HTLV-1に関する情報(厚生労働省)

「母子感染を知っていますか? 妊婦健診で調べる感染症」(厚生労働省)

国立感染症研究所〈感染症情報〉→〈母子感染〉

赤ちゃんとお母さんの感染予防対策5ヶ条

水痘(水ぼうそう)ウイルス

免疫のない女性が妊娠中に初感染すると、まれに赤ちゃんに眼の異常、皮膚の萎縮、発育障害、神経系の異常、骨格の異常が生じることがあります。

パルボウイルスB19

幼児に多い「伝染性紅斑(りんご病)」の原因となるウイルスです。妊娠中に初感染・発症すると、約30%が胎盤を通して赤ちゃんにも感染し、胎児死亡、胎児水腫(胎児の体内に水がたまって全身がむくみ、出生後すぐ亡くなる可能性が高い病気)、精神運動発達遅滞などを起こすことがまれにあるので、注意が必要です。

単純ヘルペスウイルス

性感染症の一つである「性器ヘルペス」を起こします。外陰部に水疱やかぶれが起こり、一度感染すると体内の神経節に潜伏、妊娠中に症状が出てくることがあります。産道感染すると赤ちゃんが重症の肺炎や脳炎を引き起こすことがあるので、帝王切開が必要なことがあります。

サイトメガロウイルス

これもヘルペスウイルス科で、やはり体内に潜伏する性質があります。多くの人は成長の過程で免疫(抗体)を獲得しますが、特に妊娠初期に初感染した場合は、胎児に精神運動発達遅滞、運動障害や難聴などの影響が出ることがあります。

梅毒トレポネーマ

性感染症である「梅毒」の原因菌です。妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡などが起こることがあります(先天梅毒)。このため妊婦健康診査の検査項目ともなっています。近年は増加傾向にあるので注意が必要な病気です。

クラミジア

若年層の女性に多い性感染症「性器クラミジア感染症」を起こします。自覚症状がないのが特徴で、気づかないまま赤ちゃんに産道感染すると、新生児肺炎や結膜炎を起こします。抗菌薬で、出産までに完治をめざします。

B群溶血性連鎖球菌(GBS)

B群溶血性連鎖球菌は女性の腟内や肛門周辺の常在菌で、母体に影響はありませんが、産道感染すると赤ちゃんが髄膜炎や敗血症(ショック)、化膿性髄膜炎、肺炎を起こすことがあります。このため前児がGBS感染症だった場合、検査で母体がGBS陽性だったなどの場合には、抗菌薬の投与を受けながら分娩に臨みます。

トキソプラズマ原虫

加熱が不十分な肉、猫のフン、土などに存在する原虫です。妊娠中の初感染により赤ちゃんに、ごくまれですが水頭症、脳内石灰化、血小板減少、網脈絡膜炎などが生じることがあります。免疫(抗体)があればまず心配はありませんが、ペットのフンの始末など衛生には気をつけます。

リステリア菌

リステリア菌は、食品を介して感染する食中毒菌で、妊娠中は一般の人よりもリステリア菌に感染しやすくなり、赤ちゃんに影響が出ることがあります。リステリア菌は塩分にも強く冷蔵庫でも増殖しますが、他の食中毒菌と同様に加熱することで予防できます。

大切な命を感染症から守りましょう

妊娠するとからだにさまざまな変化が起きますが、中でも知っておいてほしいのは、妊娠中は妊娠前よりも免疫力が低下して感染症にかかると重症になりやすくなっているということです。

妊娠中に感染すると、おなかの赤ちゃんに影響を与える感染症がいくつかあります。それらについて正しい知識をもち、ふだんの生活では、こまめな手洗い、うがいを励行し、さらに人混みをさけるなどして予防を心がけてください。

食事のバランスや睡眠にも気をつけ、健康的な日々を過ごして出産に備えましょう。

赤ちゃんが誕生すると、生後1~2か月から赤ちゃんの予防接種がスタートします。子どもの病気の大きな特徴は感染症が多いことですが、感染症の中には重症になり、ときに命にかかわるようなこわい病気もあります。それらの病気から子どもを守っているのが予防接種です。

子どものためにも、社会全体のためにも、予防接種をしてこわい病気に感染しないこと、そして人にもうつさないようにすることが何よりも大切です。かかるとこわい感染症は予防接種で防ぎ、生活習慣や環境を整えながら、感染症に負けないからだをつくっていきましょう。

以下のHPにもさまざまな情報が掲載されていますので、ぜひ参考にしてください。

国内の感染症・予防接種情報サイト

厚生労働省HP「感染症情報」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html

国立感染症研究所HP「予防接種情報」

https://www.niid.go.jp/niid/ja/vaccine-j.html

日本小児科学会HP「予防接種・感染症」

http://www.jpeds.or.jp/
トップページ→一般の皆さまへ→予防接種・感染症 と進んでください。

予防接種リサーチセンター

全国の予防接種センターの一覧など
http://www.yoboseshu-rc.com/index.php?id=13

海外渡航者向け等感染症・予防接種情報サイト

厚生労働省検疫所HP

https://www.forth.go.jp/destinations/index.html
海外渡航者向け「予防接種実施機関データベース」から国内の医療機関を検索、海外渡航時の注意事項等も検索できる。

外務省HP「各国・地のワクチン接種医療機関等について」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/


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