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産後のこころ(マタニティ・ブルー)

Q. 生後1か月。母親になるのが早すぎた気がしてなりません (2017.9)

  • (妊娠週数・月齢)1か月

産後1か月が経ちましたが、母親になった実感がわきません。
里帰りも終了し、旦那と3人の生活が始まりました。日中、旦那は仕事でいないので子どもと2人っきりですが、なんで泣いてるのか、どうしたらいいのかわからず、たった生後1か月の子に手を上げてしまいそうになります。奥歯をぎゅっと噛み締めて我慢しています。
子どもを持つのが早すぎたのでしょうか、わたしはまだ母親になってはいけないのではないかと思います。
子どもに申し訳ない。かわいがってくれる実両親にも申し訳ない。
わたしはどうしたらいいんでしょう。毎日を過ごすのが辛いです。

回答者: 帆足暁子先生

 辛い毎日を過ごされていますね。そのなかで、あなたはよく頑張っています。
 あなたがどうしたらいいか、を一緒に考えていきましょう。

 まずは、「産後うつに陥りやすい時期」だということも、今のあなたの状況を引き起こしている原因の一つです。産後のホルモンバランスの急激な変化や、育児のストレスで引き起こされる「産後うつ」は、10人に1人がかかると言われています。出産から2週間後をピークに1か月の期間にリスクが高まることも分かってきています。何をしても辛くなり、どうしたらいいかわからなくなる時期です。

 「子どもを産む」ということは、「すぐに母親になって、子育ては毎日が楽しい」というようなイメージがあるかもしれませんが、そんな簡単なことではないのです。
 特に、実家に里帰り出産をして自宅に戻った場合には、そのギャップが大きく、楽しい気持ちにはなりにくいのです。たぶん、ご実家では、実両親がいらして、あなたのことも労り、赤ちゃんのこともかわいがってくれて、安心でゆったりした生活ができていたと思います。でも、いざ、自宅に戻ると、日中は赤ちゃんと2人っきり。実家にいたときには、赤ちゃんが泣いたときに「おなかが空いたのね」とわかっていたことも、自宅でお乳をあげてもなぜか泣き止まないことが出てきます。そうなると、どうしてよいのかわからなくなります。子どもを育てることが楽しいなんて、とても思えません。

 では、どうしたらよいでしょうか。
 「産後うつ」の場合には、きちんと診断してもらって、治療を受けることで、ゆとりをもって生活できるようになります。「産後うつ」は治療が必要だということも、かなり認識されるようになってきました。

 また、「2人っきりの生活」でどうしたらいいのかわからないことの不安についても考えたいと思います。実家にいたときはあなたもゆとりがあったので、あなたの安心感から赤ちゃんの気持ちも落ち着いていたかもしれません。でも、赤ちゃんと2人っきりの生活のなかで、あなたに不安が生まれ、その不安を赤ちゃんも感じ取って、元来はお乳を飲めば安心して泣き止めていたのに、落ち着かなくなり、泣き止むことができなくなります。そして、どうしてよいかわからない不安から、辛い状況を生じさせた赤ちゃんに原因を投影し、怒りをぶつけたくなるのです。

 あなたは、「たった1か月の子に手をあげそうになる」自分を何とか「奥歯をぎゅっと噛み締めて我慢」しています。そして、「子どもを持つのが早すぎた」のか、「わたしはまだ母親になっちゃいけない」と悩み、「子どもに申し訳ない」「かわいがってくれる実両親にも申し訳ない」と思っています。あなたはご自分の状態を分析し、ちゃんと自分の気持ちをコントロールしようとしています。人の気持ちをちゃんと思いやることもできる、優しい人です。

 そういうあなたに必要なのは、あなたを支える人の存在です。実家と自宅とのギャップにも耐え、母親として生後1か月の子どもと2人っきりでの生活は大変なことだらけです。だからこそ、あなたを支える人が必要なのです。ひとりで悩むのではなく、誰かがあなたを支えていれば、今の状況のなかで、あなたの母性は育まれていきます。

 あなたは誰に理解して、支えてもらいたいですか。あなたの夫でもよいですし、実両親でも、お友だちでもよいのです。もし、誰も思い浮かばなければ、地域担当の保健師さんや子ども家庭支援センターのスタッフも、きっとあなたを支える存在になってくれると思います。あなたの気持ちをきちんと聞いてくれて、どうしたらよいのか具体的な方法を教えて一緒に、子育てをさりげなく応援してくれる人を探しましょう。

 子育ては、ひとりで頑張らなくてよいのです。社会のみんなで支えていくものですから。