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ホーム連載・読み物 インタビューシリーズ第7回 頭金多絵さん

インタビューシリーズ:親も子もトライ&エラー

日々、親ごさんと接しているかたや、子育て奮闘中のかたにお話を伺っていきます。

シリーズ第7回
遊びは、赤ちゃんが教えてくれる

頭金多絵さん

頭金多絵さん
プロフィール
親子共室「ぬくぬくだっこらんど」主宰

今回は「遊び」をテーマに親子共室「ぬくぬくだっこらんど」を主宰する頭金多絵さんにお話を伺いました。
「子どもとどうやって遊べばいいかわからない」「オモチャは何がいいの?」そんな疑問にお答えいただきました。

2007年10月16日掲載

親子共室
「ぬくぬくだっこらんど」とは?

編集部:親子共室「ぬくぬくだっこらんど」では、週1回、親子が集まっていろいろな遊びをしているのですね。 この会を始めたきっかけは?

頭金:26年間続けた保育士を、家庭の事情でやめたんですが、それまでずっと子どもたちから元気をもらっていたので、これか先も、その元気をもらい続けたいと思ったんですね。そして、辞めるからこそできることもあると思って、自宅で親子共室を始めました。

週1回午前、5組前後の親子が頭金さんの自宅に集まる。この日は幼稚園の説明会があったので2組の参加。前半は手遊びや歌遊び。

編集部:辞めたからこそできること・・・とは?

頭金:以前は保育園に通うお子さんやその親ごさんと接してきましたが、今度は、家庭で子育てをしている親御さんたちに向けて、何かお手伝いできれば、と思ったんです。
というのは、保育士のサポートを受けやすい立場にいる園児の親御さんたちがこれほどさまざまな悩みを抱えているのなら、家庭で子どもを見ている親ごさんは、もっと困っているんじゃないかと、ずっと気になっていたんです。それで、家庭の親子が気楽に遊べて、お互いに相談もできるような場をつくりました。

ママやパパとのどんなやりとりも
赤ちゃんにとっては「遊び」

編集部:遊びかたがわからない、という親ごさんの声が、よく聞かれます。

おやつができるまでのあいだ、きょうは、お絵かきタイム

頭金:みなさん、赤ちゃんと「遊んであげなくては」と、一生懸命なのですね。
さまざまなメディアから、「『遊び』は子どもの成長に大切」という情報が流されているので、「遊んであげなきゃ」と思うのでしょう。

編集部:誰もが自然に赤ちゃんと「遊べる」というものでもないですよね。どうすればよいのでしょう?

頭金:1~2か月頃の赤ちゃんは、たしかに反応が少ないだけに、声をかけるのも難しいかもしれませんね。

でも、実は、赤ちゃんには、お母さんやお父さんの声がしっかり聞こえている。だから、ひとり言のように話しかけるだけでも、その声を聞いて楽しんでいます。

編集部:意味はわからなくても、ちゃんと聞こえているんですね。

おやつのあとは、おしゃべりしたり、絵本を読んだり。

頭金:たとえば、おむつ替えのときに、「気持ちいいね?」と声をかけるだけでもいい。「今日の晩ご飯、何にしようね?」とか、「明日はお天気よくなるかな?」とか、話す内容は何でもいいと思います。

お母さんの声が聞こえてきたり、抱っこしてくれたりという、自然な触れ合いこそが、赤ちゃんにとっては何よりも楽しい『遊び』になっている、と言っていいでしょう。

子どもによって
喜ぶオモチャは違う

頭金:赤ちゃんがベッドに仰向けになって、自分の両手を一生懸命見ていることがありますが、それも、一種の遊び。自分の手を発見して、見て、触って遊んでいるんです。
赤ちゃんにとっては、目の前で触れるもの、見えるものすべてが遊びなんです。

ふと思いついて作ったというペットボトルのコマ。材料はペットボトル容器とビー玉。軽く触れただけで、よく回る。赤ちゃんから幼児まで楽しめる。

編集部:オモチャは、必ずしも必要ないですか?

頭金:赤ちゃんがそのオモチャが好きなら、使えばいいと思います。
大人のほうが、「オモチャがあったほうが遊びやすい」と思うなら、どんどん使いましょう(笑)
市販のオモチャにもよいものがたくさんありますが、新聞紙をクチャクチャに丸めただけのものが大好きな子もいます。ガサガサという音が面白いのでしょう。

編集部:オモチャというと、市販のものを思い浮かべがちですが、身近なものでいいんですね。

赤ちゃんから「遊び方」を教わろう

頭金:子どもって、立派なオモチャの調理セットよりも、台所で実際に使っている密閉容器のほうが好きだったり(笑)、大人の予想もつかないものや遊びが好きだったりしますよね。
私は、赤ちゃんや子どもから、遊び方を逆に教えてもらうぐらいの気持ちでいても、いいと思います。

編集部:教えてもらう?

頭金:所詮、大人の発想は、子どもの発想にはかなわない(笑)。
手作りオモチャを作っていると、子どものほうが、こちらが思ってもいなかったアイデアを出してくれることもあります。

編集部:なるほど。

頭金:赤ちゃんが生まれたとたんに、親としてすべてのことができるようになる・・・なんて、無理ですよね。

赤ちゃんが成長するよりも、親として成長する方がずっと時間がかかる(笑)。
だから、最初から何でもできなくてはいけない、何でも知っていなくてはいけない、と思わなくていいんです。

逆に、赤ちゃんから教えてもらうつもりで、赤ちゃんの成長にかかわっていけば、親として自然に成長していける。ゆっくり親になっていけばいいと思います。