3:難聴の治療と聴覚補償機器(補聴器・人工内耳)・手話
治療について
先天性難聴の多くは治療での改善が難しいですが、サイトメガロウイルスに胎内感染したことが原因の場合は、出生後すぐの薬物(抗ウイルス薬)治療も一部で行われています。
聴覚補償機器(補聴器・人工内耳)
難聴者の聞こえを補う聴覚補償として、補聴器、人工内耳があります。難聴の程度によって使い分けがされますが、両機器ともに使用にあたって大切なことは、装着後の継続的な聴力の把握です。とくに子どもの耳の聞こえは成長や環境の変化とともに変わりますので、装着開始後も必ず定期的に聴覚検査を受けるようにしてください。
1)補聴器
補聴器は、周囲の音を集め、音信号の振り幅を増大させて音を大きくして聞こえるようにするものです。手術などの必要がなく、試聴をして納得した上で使用できるメリットがあります。最近は音信号の処理方式から形態に至るまで、さまざまなタイプのものがありますが、乳幼児の場合は安定して装用ができ、調整の可変範囲が広いものがむいています。
▲補聴器の種類
2)人工内耳
人工内耳は、難聴の程度が重く、補聴器での効果が得られにくい場合に有効なもので、体の外に装着する体外装置(スピーチプロセッサー)と、手術によって耳の後ろに埋め込む体内装置(コクレアインプラント)から構成されます。
仕組みとしては、マイクロホンが拾った音が体外装置のなかで音信号に変換され、体内装置へ送られます。体内装置に送られた音信号は電気信号に変換され聴神経を刺激し、この刺激が大脳へ伝達されて、音として認識されるというものです。
人工内耳によって音は聞こえるようになりますが、聞こえ方は私たちが耳にしている音とは異なり、人工内耳独特のものになるため、音の聞き分けのための訓練が必要になります。
▲人工内耳
手話
手話はろう者の間で伝統的に使われてきたコミュニケーション手段です。現在日本で使われている手話には、昔から使われてきた「古典的手話」のほか、口話教育を受けたろう者を中心に発展してきた「日本語対応手話」があります。「日本語対応手話」は日本手話と日本語とが混在したもので、現在、ろう学校の教育現場で教員の多くが使っているものです。