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友だち・遊び・テレビ

Q. 内気で繊細な幼稚園年中の男の子。友だちとうまく遊べません。 (2014.3)

  • (妊娠週数・月齢)5歳

幼稚園年中の内気な息子が、最近お友だちとうまく遊べません。早生まれで、繊細な息子は友だちと遊んでいても指示されたり、強く出られたりし、幼稚園が憂鬱のようです。園庭開放のときに様子を見ていると、鬼ごっこで鬼になり、タッチしようとすると勝手に「タッチ禁止!」と言われ、ずっと鬼のままで最後には泣いていました。公園でも砂遊びをしていると知らない子に「ここは水を使って遊んではだめ」と言われて従いましたが、そんな決まりはありません。息子は、周囲の子がだんだんとズル賢くなるなか、いいように強く出られているようです。親として不憫に思いますし、友だちとの関わりをどう導いていけばいいのかと悩んでいます。

回答者: 高橋惠子先生

 幼児の集団はときに、とてつもなく残酷になることがありますので、注意が必要です。おそらくいじめているつもりはなく、社会性がないために、つまり無知なために、ある子どもをターゲットにして面白がるようなことがあります。幼児間のいざこざの多くは幼児だけで解決されるという報告もありますが、ご相談のように、もしも、同じ子どもをターゲットにしていつも同じやり方でいじめるようになっているときには、つまり、仲間集団がそのような“癖”を持ってしまったときには、大人(幼稚園の先生や親)の介入が必要だと思います。

 そこで、まず、園庭開放時とは言わず、幼稚園に行って子ども集団の様子をよく見てみましょう。お子さんや特定の子どもが頻繁に弱い者いじめの対象にされていないかを点検してください。もしも、園庭開放時に目撃されたような集団行動が見られるようなら、先生に話して、そのようなことが起こらないように子どもたちを指導してくれるように頼みましょう。そして、事態が改善されたかしっかりフォローしてください。うまくいかないようなら、しばらく休園させたり、ときには転園することも辞さない覚悟をしましょう。

 また、子どもと子どもの付き合いには学習が必要だということも、知っておかなければなりません。幼児の仲間集団は社会経験の乏しい子ども同士の集まりだと考えることが必要です。幼児がこれまでに経験してきたのは、主に親や大人との付き合いです。大人と幼児の付き合いでは、大人が「どうして欲しいの?」「イヤなの?」などと子どもの要求を読みとろうとし、できるだけその思いをかなえてやろうという善意に支えられているものです。

 したがって、幼児と幼児の付き合いは、このような思いやりに満ちた人間付き合いしか体験していない子ども間の交渉だということになります。幼児は自分から相手の気持ちを察したりはしません。ですから、「遊ぼう」「入れて」と言わないために仲間はずれになったり、「○○したい」「イヤだ」と言わないために、やりたくない役を押し付けられたりすることになるのです。幼児は、自分の意志を、どのようなときに、どう表現すればよいかを学習することが必要なのです。

 内気で繊細な子どもの場合には、このような学習を、より年下の仲間との間ですることが有効です。子どもとどのように付き合うか、どのように言葉を使うかなど、遊び方をゆっくり体験できるからです。そこでうまく遊ぶ経験を重ねると、やがて子どもは仲間関係に“その子なり”の自信がもてるようになるでしょう。

 大人は「友だちと元気に遊ぶこと」をどの子にも期待しがちですが、内気で繊細であるという子どもの個性とは相容れないところがあるかもしれません。内気で繊細であるという個性は長所として大切にしましょう。遊び方を含めて“その子なり”の行動の仕方を認めることが、子どもの個性をよく知る親の役割だと思います。