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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. フランス在住。妊娠糖尿病と診断されましたが日本での判断を教えてください。 (2014.5)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠7か月 (24〜27週)

第2子妊娠25週、フランス在住です。10週の血液検査で0.95g/L(95mg/dL)だったため、妊娠糖尿病と判断されて食事療法中です。先日、75gブドウ糖負荷試験の結果、0.90g/L、1時間後に1.38g/L、2時間後1.09g/Lでした。負荷試験の前に診察で、朝の血糖値が0.95を超える日が1週間に3回ほどあった(平均98ぐらい)ため、担当医から「夜だけインスリン2UIをしたほうがいい」と診断されました。妊娠初期10週の血液検査では0.95g/Lだったのが妊娠23週の負荷テストでは0.90g/Lと、妊娠糖尿病と判断されるラインを超えてないように思うのですが、インスリンを投与すべきでしょうか? また、妊娠糖尿病は出産まで治らないものなのでしょうか? フランスと日本では体質などによって診断や治療に違いがあるのでしょうか。私の現在の状態が日本でどう判断されるのか、教えていただければと思います。

回答者: 安達知子先生

 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した、糖尿病に至っていない糖代謝異常で、あきらかな糖尿病は含まれません。胎児や母親自身にもさまざまなリスクをもたらす病気で、診断された場合は食事療法を中心に行い、これで血糖値が低下しないときはインスリン療法を行います。

 その診断は75gブドウ糖負荷試験で行うのが一般的ですが、この負荷試験は全員に行うものではなく、その前にスクリーニング検査を行い、そこで異常値を示した場合にこの検査を受けます。

 スクリーニング検査の異常値は、日本では妊娠初期の随時血糖が大体95〜100 mg/dL以上、あるいは妊娠中期(23〜28週)に50gブドウ糖負荷試験を行って1時間後の血糖値が140 mg/dL以上となった場合です。

 ご相談者は妊娠初期(10週)の血液検査で0.95g/L、すなわち95mg/dLとのことですから妊娠糖尿病ではなく、本来は75gブドウ糖負荷試験を受ける対象となったわけです。

 なお、世界的に、妊娠糖尿病の診断基準は統一されており、
 1)空腹時血糖値≧92mg/dL
 2)1時間値≧180mg/dL、3)2時間値≧153mg/dL
のうち、1つでも満たした場合とされています。

 ご相談の場合は、初期から食事療法を開始されたとのことで、カロリーに配慮した生活を送ってこられたと思います。その結果、妊娠中期に行った75gブドウ糖負荷試験では、空腹時90mg/dL、1時間値138mg/dL、2時間値109mg/dLと正常値を示しています。従って、妊娠糖尿病ではないと診断されます。

 しかし、朝の空腹時血糖値が95mg/dLを超える日が1週間に3回ほどあったとのことで、やや血糖値が高めになりやすい状況があるのは事実です。インスリンを使う必要はないと考えますが、運動したり夕食時の炭水化物や脂質を減らすようにしたり、1回の食事のボリュームを下げて、とくに夕食は、2回に分けて2度目はおやつ程度にするなどの工夫が必要です。

 また、妊娠糖尿病だけでなく、いわゆる肥満、すなわち妊娠前の体重や肥満度を示すBMI[体重(kg)/身長(m)の二乗]、妊娠中の体重増加などが大きいときは、食事指導やカロリー制限が必要になります。胎児発育などもあわせて評価し、正常な妊娠経過であることを確認することが大切です。