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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 妊娠17週。妊娠初期に絨毛膜下血腫と診断されました。注意点を教えてください。 (2014.9)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠5か月 (16〜19週)

妊娠17週の妊婦です。妊娠8週に出血があり、絨毛膜下血腫と診断されました。5週間自宅で安静にし、現在は仕事をしています。血腫の大きさは変わらないとのことで、3cmほどあります。感染を起こすと胎児に影響があると言われていますが、感染症とはどのようなものでしょうか。切迫早産になるリスクがあるとも言われました。日常生活でどんなことに気をつければいいでしょうか。現在、出血やおなかの張りはありませんが、注意点などを教えてください。

回答者: 安達知子先生

 胎児を包んでいる卵膜は3つの膜からできています。胎児のほうから、羊膜、絨毛膜、脱落膜の順番で、脱落膜は妊娠を維持する黄体ホルモンの影響で子宮の内膜が変化したもの、羊膜と絨毛膜は胎児と同じ受精卵から作られたものです。

 受精卵が着床して、絨毛膜が脱落膜の中に侵入して密着するのですが、ときどき、うまく密着できておらず、絨毛膜と脱落膜の間に出血が溜まっている状態が見られます。これを「絨毛膜下血腫」といいます。妊娠の比較的初期にわずかに見られることはよくあることです。しかし、中には妊娠20週くらいまで見られていたり、かなり大きな状態であったり、子宮口から腟のほうへたびたび出血してくることもあります。この場合は入院管理となります。

 ご相談の場合は、絨毛膜下血腫が妊娠中期になってもまだ認められているのですから、胎児を包む膜が子宮の壁に密着していない部分があるということです。また、子宮の中は無菌ですが、子宮の出口(頸管)や腟の中にはいろいろな細菌がいるのは普通のことで、血液の分泌物は細菌にとって良い培地となるため、細菌が頸管内で増殖して炎症を起こしやすくなります。炎症は子宮の収縮を引き起こしやすく、頸管を開きやすくしますので、流産や早産が起こりやすくなります。妊婦健診では、血腫の大きさ、部位、頸管の状況、腹緊(おなかの張り)、場合によって、血液検査で炎症のチェック、頸管の細菌の培養などを調べることになります。

 基本的には、安静にして血腫が大きくならないようにし、また、子宮の収縮があれば子宮収縮抑制剤を、炎症があれば抗菌剤を投与されます。いま、3cmほどの血腫で大きさは変わらず、出血もないとのことですので、このまま自然に血腫が吸収されていくのを経過観察している状況と考えます。
 日常生活では、運動や性生活、長時間の外出などは控えて、あとは普通の生活でいいと思います。腹痛、おなかの張り、出血があればすぐに病院に行きましょう。