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妊娠中の気がかり(体重・食事・病気・体調など)

Q. 第2子妊娠中。第1子出産で胎盤機能不全と診断されたことが気がかりです。 (2015.7)

  • (妊娠週数・月齢)妊娠3か月 (8〜11週)

34歳の経産婦です。現在、第2子妊娠11週ですが、4年前に子宮内発育遅延のため在胎26週600gで出産しています。原因のひとつは、胎盤の端にへその緒が付着していることだと言われましたが、それだけではこんなに発育が遅れるわけがないとも言われ、結局、原因不明のまま胎盤機能不全と診断されました。このような胎盤機能不全は繰り返す場合があるでしょうか? 今後、どのような母体の管理を自分自身が行い、また主治医の先生にお願いすべきでしょうか? 元気な赤ちゃんを産むためにできることを教えてください。

回答者: 安達知子先生

 胎児発育不全は在胎週数に比較して胎児の発育が遅延しているもので、全妊娠の8〜10%を占めるとされ、高率にハイリスク妊娠に合併します。胎児死亡の31%、妊娠22週以降から出生後7日未満の早期新生児死亡の18%に認めるともいわれています。

 原因があるものと不明なものがあります。また、原因があるものでも、たまたま今回の妊娠で起こったものと、次回妊娠でも繰り返し起こす可能性のあるものとがあります。

 原因のわかっているもののうち、比較的初期から胎児の発育不全の見られるものとしては、胎児の先天奇形、胎児の染色体異常、胎内感染、母のアルコール中毒などがあります。妊娠中期以降から認められるものとしては、胎盤因子(前置胎盤や臍帯の付着部位の異常など)、母体の妊娠高血圧症候群、喫煙やその他の母体合併症妊娠などです。

 ご質問のケースは原因不明とのことですので、上記に挙げたものは種々の検査などから否定されたのだと思います。臍帯の付着部位の異常としては、胎盤の辺縁や卵膜付着などで起こることはありますが、もっと妊娠の末期に近くなってから起きやすく、この原因は考えにくいと思います。

 原因不明のものは、胎児に栄養や酸素を供給する胎盤の機能不全が原因と推測されています。この場合は、できる限りよい状況で在胎週数を延長させながら、胎児にとって胎児死亡などの危機的状況になる前に出生させてあげる必要があり、ご相談者の場合はそれが26週だったのだと思います。

 なお、原因不明のなかでも見落としやすいものとして、明らかな妊娠高血圧症候群を起こす直前の状況で血圧が上昇傾向であったりタンパク尿が陽性であった場合や、子宮筋腫の真上に胎盤が付着していて胎盤の血流が悪かった場合、また、子宮・胎盤循環が悪くなりやすい特殊な状況として抗リン脂質抗体症候群、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症などが挙げられます。これらについては、担当医に検査の有無や状況を確認したほうがよいと思いますし、次回妊娠中でそれなりの対応があります。

 一般的に、原因不明のものでは特段の予防法はありませんが、妊娠前の母体の健康や妊娠前や妊娠中の適切な栄養管理は大切です。やせすぎず、肥満になりすぎず、妊娠中の適切な体重増加、適切な運動、安静などは大切ですので、これらを心掛けてください。なお、今回の妊娠中は胎児発育に注意した検査を組み込んだ妊婦健診が必要です。周産期センターでの健診をお勧めします。