妊娠中の気がかり（体重・食事・病気・体調など）
Q. 双子妊娠23週。体重増加の目安と今後の生活の注意点を教えてください。 (2015.8)
- （妊娠週数・月齢）妊娠6か月 (20〜23週)
双子を妊娠中の37歳初妊婦です。妊娠前は165cm55kg（BMI20）で、月に100kmほどランニングし、よく運動してカロリーを消費していましたが、妊娠してから切迫流産が怖くて積極的な運動をしていません。もともとお菓子や甘いジュースはとりませんが、３食のごはん（お米）を減らすのがつらく、ストレスです。現在23週で60.8kg（＋5.8kg）ですが、双子妊娠中の体重増加の目安がわかりません。そのため食事を制限すべきか、低栄養にならないようある程度は食べていいのか判断できず、悩んでいます。いまのところ、たんぱく尿や尿糖、血圧などは異常ありませんが、貧血（Hb10.1）とたんぱく質の異常（総たんぱく6.2、アルブミン3.6）を妊娠20週のときに受けた職員健診で指摘されました。最終的な適切な体重増加量と、運動や食生活の注意点、食事量の目安（とくにお米）を教えていただけたらと思います。
回答者: 市川香織先生
双子のご妊娠おめでとうございます。月100kmのランニングなど妊娠前は体を動かすことが習慣化されていたのはすばらしいですね。普段からよく運動されていたので、妊娠してからの生活の変化に戸惑うことが多いことでしょう。
まず、妊娠末期までの体重増加の目安ですが、おなかの赤ちゃんが１人である単胎妊娠の目安はあるのですが、双子など多胎妊娠の場合の基準は設けられていません。双子などの場合、単胎妊娠の妊婦さんに比べ妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になりやすいというリスクがあったり、妊娠経過も人によって異なるため、個々の状態や経過にあわせて見ていくことが多いためです。
ご相談者の場合、現在は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を指摘されていませんし、順調な経過のようですね。現時点で体重増加の目安を考えてみますと、非妊時のBMIが20と標準的ですので、単胎妊娠の場合の体重増加7〜12kgに赤ちゃん１人分（2〜3kg）をプラスする程度と考えればよいでしょう。およそ9〜15kg増加の範囲になりますね。
しかし、これからの経過で、前述したようなリスクが現れる場合もあります。体重増加の目安はあくまでも「目安」と考え、定期的な妊婦健診をきちんと受診し、医師・助産師と相談しながら過ごされるとよいでしょう。
また、食事の注意点ですが、お菓子やジュースではなくごはんを食べているということなので、基本の食事スタイルは何か異常が現れない限りいまのままでよいと思います。白米だと消化がよくてすぐにおなかが空いてしまうようでしたら、たとえば雑穀を混ぜたり７分づきや５分づき米にしたりすると腹持ちもよくなります。
しかし、今後は２人の赤ちゃんが大きくなってくることに伴って、食事量も１回にたくさんは食べられなくなってくるでしょう。その場合は１食分を分けて食べたり、消化を助けるために白米にしてよく噛んだり、食事の後はすぐに横になることは避けて上半身をリクライニングして過ごすなどの工夫も必要になってくるでしょう。バランスのよい食事を心がけながら、体の変化に合わせて食べ方や休息の取り方も併せて変化させていくことがポイントです。
貧血や総たんぱくの異常を指摘されたということですが、妊娠中は血液の量が増え、とくに血漿という水分が増えるため、相対的に血液が薄まり、貧血やたんぱく質が少ないという状態になります。今後はもう少し血液が薄まって、量も増えることが予測されますので、妊娠後期の血液検査で貧血を指摘されやすくなると思われます。産後の体力や母乳育児にも備えて、鉄分やたんぱく質を食事で摂っていくようにするとよいでしょう。
双胎妊娠は切迫早産にもなりやすいので、運動をすることも消極的になりがちですよね。早産はできるだけ避けたいのであまり積極的な運動はお勧めできないことは事実ですが、重くなるおなかを支えて緊張している背中や肩のコリをほぐしたり、むくみやすくなる下肢の血液循環をよくしたりすることはとても重要です。積極的に歩いたりできない分、体をストレッチしたり、ほぐしたりする妊婦体操はリフレッシュにつながり体にも無理がないのでお勧めです。とくに、パートナーと一緒にストレッチをしたり、ときにはマッサージしてもらうことなども、血流をよくするのでお勧めです。リラックスのためのアロママッサージやゆったりとした入浴など、双胎妊娠でもできるリフレッシュ方法はいろいろありますので、産院の助産師などに聞きながら自分に合った方法を取り入れていかれるとよいと思います。マタニティライフを楽しんでくださいね。